健康長寿ネット

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肺炎の種類と特徴

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年8月 6日 13時14分

 肺炎にはいろいろな分け方がある

肺炎の分類の仕方

 一言で肺炎といっても、原因となる病原微生物が違っていれば、治療法が異なります。また、どこで、どのような原因で肺炎に感染・発症したのかという、発症の仕組みによっては、予後が大きく変わることがあります。

原因となる病原微生物による肺炎の種類

 これは、大きく3つのタイプに分かれます。肺炎の原因となる病原微生物には、細菌(細菌性肺炎)、ウイルス(ウイルス性肺炎)、その2つの中間的な性質をもつ微生物(非定型肺炎)の3つが考えられます(表1)。

 いずれも、感染の経路としては、発症している人の咳に含まれる病原微生物が、口や鼻から入り込んで感染する「飛沫感染」と、ドアノブなどに付着した病原微生物が自分の手の指を経由して口や鼻から体の中に入り込んで感染する「接触感染」があります。一般的には、肺炎や風邪などの感染は、飛沫感染であることが多いのが特徴です。

表1:病原微生物による肺炎の種類と特徴
原因 特徴
細菌性肺炎 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因で起こる。 湿った咳と共に、黄色や緑色を帯びた痰が出る。
ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど、さまざまなウイルスが原因で起こる。 一般的なかぜ症状に続き、激しい咳、高熱、倦怠感などの症状が出てくる。
非定型肺炎 マイコプラズマ、クラミジアなど、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物が原因で起こる。 乾いた咳が長く続くことが多い(痰は少なめ)

 初期の症状は、咳、痰、発熱など、似ているところも多いのですが、細菌性肺炎と非定型性肺炎では、咳の状態に違いがあります。またウイルス性肺炎の場合は、急に39度以上の発熱があることが多いため、そういった症状のわずかな違いからでも、病原微生物を推測することができます。医療機関を受診した時は、自分の症状を細かく説明し、熱の出方(朝方に高熱になり日中は下がるなど)の特徴なども、分かる範囲で伝えるようにしましょう。

感染場所による肺炎の種類

 一般的には、自宅で日常生活を送る中で、病原微生物に感染し、肺炎を発症することが多いようです。しかし、高齢者になると、ちょっとしたきっかけで入院した時に、病院などの中で肺炎に感染することもあります(表2)。

表2:感染場所による肺炎の種類と特徴
原因 特徴
市中肺炎 病院や診療所など以外で、日常生活を送っているうちに感染した肺炎のことで、風邪やインフルエンザをこじらせた時に起こる 早めに適切な治療を行えば、完治が期待できる
院内肺炎 病院や診療所(施設)などに入院してから、48時間以上経過した後に発症した肺炎のことで、抵抗力(免疫力)が非常に低い人や、人工呼吸器が原因で起こる 予防や治療が比較的難しく、死亡率が高い

 市中肺炎とは、自宅などを拠点として日常生活を送っている人が、その過程で病原微生物に感染し、発症した肺炎です。ただの風邪だと思っていたら、いつの間にか重症化して、肺炎を発症することもあります。特にインフルエンザが流行する時期は、インフルエンザウイルスが原因となる肺炎が多くみられますので、予防接種をしっかり受けておくことが必要です。

 院内肺炎とは、病院などに入院して48時間以内に発症する肺炎です。原因となる病原微生物はさまざまですが、入院する理由は呼吸器の病気ではないこともあります。例えば、心臓の病気や脳血管の病気、がんや骨折などの手術による入院でも、感染・発症する可能性があります。いずれの場合でも、特に抵抗力(免疫力)が低下している高齢者に多くみられ、気づいた時にはすでに重症化していたり、呼吸機能が改善しないまま死に至ることもあります。

感染した組織による肺炎の種類

 一般には、肺胞そのもので病原微生物が増殖し、炎症を起こした状態を肺炎と言います。これに対し、肺胞の周りにある「間質」という部分に炎症を起こした場合を「間質性肺炎」と呼び、一般的な肺炎と区別しています(表3)。

表3:感染した組織による肺炎の種類と特徴
肺炎が起きている部位 特徴
肺胞性肺炎 肺の末端にある「肺胞」が炎症を起こす肺炎 高熱が出て、咳とともに膿ともいえる黄色や緑色(時には茶褐色)の痰がたくさん出る
間質性肺炎 「肺胞」を支える組織である「間質」が炎症を起こす肺炎 呼吸困難や呼吸不全が特徴で、痰を伴わない乾いた咳が続く

 肺胞性肺炎の場合、早期からしっかりと治療をして、肺胞の中に溜まった膿をしっかり体の外に出せれば、特に目立った後遺症もなく、完治が期待できる場合があります。

 一方で間質性肺炎の場合、肺胞を支えている(包み込んでいる)間質に強い炎症が起こるため、症状が治まっても、間質自体が線維化(硬くなって動きが悪くなること)したり肥厚(厚くなって動きが悪くなること)してしまうことがあります。こうなると、肺胞自体が上手く膨らまなくなるので、新鮮な空気をしっかりと取り込むことが出来ません。仮に、肺胞の中には新鮮な空気が入って来ても、上手くその周囲にある毛細血管を通じたガス交換(酸素と二酸化炭素を入れ替えること)が出来なくなり、結果的に呼吸困難の状態が続きます。

 間質性肺炎はさらに、肺炎の症状の悪化、治療薬の副作用、感染症などをきっかけとして、急激に病状が悪化することがあります。これを「急性増悪」といいますが、致命的となることもあります。

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