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肺炎の診断

公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年2月 1日 21時26分

肺炎と診断されるまで

まずは症状を確認する

 医療機関を受診すると、まず問診を受けます。年齢や性別、これまでの既往歴(どんな病気を経験しているか)、現在治療をしている病気はあるか、普段飲んでいる薬はあるかなど、一般的な項目に加え、ここ数日間の自覚症状について聞かれます。

 もし、それまでに咳や痰、発熱などの症状がある場合は、いつから、どのような症状が、どのような時に自覚できるのか、なるべく詳細に伝えておきましょう。この「自覚症状」の情報が、肺炎だと確認できる手掛かりになることもあります。可能であれば、手帳やノートに書き留めておくと良いでしょう。

 次に、診察室に入ると、医師による聴診があります。医師は、呼吸に伴う肺の音を聞き分け、肺に雑音がないかどうかを確認します。肺炎を発症していると、肺炎に特徴的なパチパチ、パリパリというマジックテープをはがすような音や、肺の中に水が溜まっていれば、ブクブク、グーグーという特徴的な音が聞こえます。この時点で、肺炎かもしれないという推測はできますが、確定診断のためには、いくつかの検査を受ける必要があります。

肺炎であるかどうかを確認する検査

 肺炎の確定診断のためには、いくつかの検査が必要ですが、代表的なものが、画像診断、血液検査、呼吸機能検査です。

肺炎を診断する検査項目

画像検査

 レントゲン撮影(X線撮影)やCT画像を使った画像検査で、炎症が起きていれば、その部分が白く映し出されるため、肺炎があるかどうかを目で確認することができます

血液検査

 血液中のCRP(数値により炎症の有無が分かる)や、白血球の数値(炎症の有無が分かる)、赤沈値(赤血球の沈む速さで体の異常の有無が分かる:血沈値ともいう)などがあります。また、呼吸機能の充足度(十分な呼吸が出来ているかどうか)を見るために、酸素濃度を測る(肺炎の場合、酸素濃度は低い)こともあります

呼吸機能検査

 肺活量から肺の膨らみ具合や酸素を取り込む能力を調べる検査で、年齢や体形から求められた平均値と比較して判断し(%肺活量)、呼吸機能の状態(重症度)を測る目安になります。

 ただし、画像検査や血液検査で、肺炎であることが確認できる場合は、呼吸機能検査を無理に行うことはありません。胸の痛みや呼吸苦がある場合は、この検査を受けることは出来ません。受診した時の状態により、判断されます。

病原となった微生物を調べる検査項目

 肺炎であることが確認できたら、その原因は何かを調べる必要があります。原因(細菌、ウイルス、それ以外の病原微生物)によって、治療に使うお薬が変わってくるためです。

 病原微生物を確定する検査には、大きく分けて2通りあります。1つは短時間である程度の予測をつける検査、もう1つは時間をかけて病原微生物を特定する検査です。

迅速検査

 鼻やのどをこすった粘液で、インフルエンザや他の感染症であるかどうかが分かる検査で、数分間で結果が出る。あるいは、採取した尿から、肺炎球菌やレジオネラに感染していないかを推定する検査もある。どちらの検査も短時間で結果が分かります

喀痰(かくたん)検査

 痰を採取し、原因菌を推定する検査で、結果が出るまで数時間~数日間かかる。痰の中に含まれている細菌やウイルスを培養して、数を増やすことで特定しやすくする。

その他、比較的侵襲が高い検査

 この他、病原となった微生物を特定する検査には、以下のような特殊な項目もあります。

気管支鏡検査

 局部麻酔をして内視鏡を口から気管支内に挿入する検査で、気管支や肺から直接検体を採取し、細胞の種類や炎症の状態を詳しく調べる(図1)。

図1:気管支鏡検査のイメージ図。喉あるいは鼻から気管、気管支内にカメラを入れ、観察したり、痰を取ったり、細胞を採取したりする。

図1:気管支鏡検査のイメージ 1)

外科的肺生検

 気管支鏡検査でも病原微生物が特定できなかったり、肺炎を起こしている部位を特定する必要がある時、病状に緊急性が高い場合に、呼吸器外科で行われる検査で、肺組織を採取して、さらに詳しい病理検査を行う。

アイソトープ検査

 間質性肺炎であるかどうかの確定診断が必要な場合、行うことがある検査で、体の中に放射性物質を入れ、2日後に専用の装置(図2のガンマカメラ)で放射性物質を検出し、肺の機能を調べる。使われる放射性物質はガリウム67で、これにより標識されたクエン酸を注射する。この検査薬による被ばくは、年間に自然界から受ける被ばく量とほぼ同量で、放射性物質は尿や便から排出されるため、数日で体内から排出される。薬の副作用もほとんどないと言われている。

図2:ガンマカメラ装置で検査をしているところ

図2:ガンマカメラ装置 2)

病原微生物が確定する前に行われる治療もある

 肺炎のはっきりした診断がつかず、緊急を要する症状の場合は、エンピリックセラピー(経験的治療)と呼ばれる治療を行うことがあります。エンピリックセラピーとは、さまざまな検査の結果を持っている間に、病状が悪化するリスクを避けるため、ある程度「この病気(肺炎)の可能性がある」と予測をして、薬物治療を始めることです。

画像引用

  1. 株式会社QLife(監修:東京女子医科大学病院・中央集中治療部・佐藤庸子)
  2. 日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会「なぜ核医学検査を受けるの?」

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