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第59回 新型コロナウイルスに感染

公開日:2023年10月 6日 09時00分
更新日:2023年10月 6日 09時00分

宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業


 新型コロナウイルス感染症が5類になり、感染状況が以前ほど詳細にわからない。それでも、先月あたりから、全国各地で、感染者の増加が報じられている。皆さんの周辺では、いかがだろうか。

 私たち夫婦は、8月半ば、新型コロナウイルスに相次いで感染した。実は7月末から、私が勤務する病棟でクラスターが発生。約60人の入院患者の半数が感染してしまった。

 しかし、先に感染したのはツレ。8月14日に38.6度の発熱があり、抗原検査で陽性が出た。次いで私が37.6度の発熱を見たのが8月19日。私もツレ同様、この日に抗原陽性が確認できた。

 私の友人も、この時期相次いで感染し、療養している。なかには症状が長引いた人もいるが、私たちを含め、多くの人が軽症で治癒したのは喜ばしいことだ。

 以下、私たちの具体的な症状を参考までに書いておきたい。

 2人とも主な症状は上気道炎で、ツレは鼻水、私は咽頭痛が強かった。発熱より前にこの症状があり、病院での感染者取り扱いに従い、症状発現時を感染ゼロ日とし、この日から5日目までを自宅療養(自主隔離)期間とすることにした。

 これについては、東京都がまとめている表が分かりやすいので、参照してほしい。

図:新型コロナウイルス感染の症状の有無による療養期間の過ごし方について示す図。
外出を控えることが推奨される期間
感染・療養に備えて 東京都保健医療局(外部サイト)(新しいウィンドウが開きます)

 私たちは感染5日目にはほぼ症状が治まっていたので、感染6日目からマスクをつけて通常の生活に戻った。

 ちなみに、勤務については、ツレは基本がリモートワーク。たまたま盆休みが重なって勤務に戻ったのは感染4日目の18日から。私は看護師という仕事柄、対面での仕事なので、感染6日目の24日から復帰した。

 ただし、病院のきまりでは、解熱後48時間というルールがあり、それに照らすと23日からの復帰も可能であった。念を入れて翌日からの復帰にしたが、特に出勤停止でもないため、給与に関しては何の手当もない。

 パート勤務の身としては、経済的なことを考えれば、早めに出勤できるのはありがたいとも言え、「念を入れて休む」というのは、雇用形態によっては、働く者の持ち出しになる現実もよくわかった。

 政府が新型コロナの感染症法上の扱いを2類から5類に下げる理由として、最も強調していたのが、軽症化だった。後遺症が残る人もいるので、感染してもよいとは言えない。

 とは言え、どんなに気をつけていても、感染可能性は0にはならない。ここまで長期化すると、感染防御を中心に暮らすのも限界がある。

 わざわざこのように言うのは、今回職場でクラスターを経験し、感染予防それ自体の弊害も痛感したからだ。感染対策に時間をとられ、ケアが行き届かなくなった代償は、想像以上に大きかった。

 何しろ、患者さんの元に行くのに、N95マスクにゴーグル、フェイスガード、ガウンを着て、手袋は2枚重ね。フル装備をするには時間がかかり、気持ちがあっても、ベッドサイドに行くのが間遠になってしまった。

 また、感染対策自体が患者さんの生活の質を落とす面も見逃せない。入浴も制限され、介助入浴は約3週間中止。食事もホールに集まらず、それぞれのベッドでとる。動く機会が減って寝たきりになる患者さんもいて、今はそうした患者さんの機能回復に時間をかけている。

 今後も続くだろう感染対策について、どの程度厳格に行うべきなのか。起き上がるのが億劫になってしまった患者さんを励まして起こしながら、改めて検討が必要だと感じている。

写真:病院から支給されている医療用抗原検査キットと検査結果で陽性であることを示す写真。

<私の近況>
 私は病院から、医療用抗原検査キットが支給されています。怪しい症状があれば、すぐ検査。出勤の可否を決めるためです。使ったらまた補充してもらえるので、安心して使えます。PCR検査に比べると特に無症状の場合の精度は落ちると聞きますが、やはりその場で簡便に検査し、結果が見られるのは助かります。今回は2人とも陽性と出ました。線が2本くっきり出ています。お家に常備する場合は、研究用ではなく、医療用を購入しましょう。精度がかなり違うようです。

著者

筆者_宮子あずさ氏
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。

著書

「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ:ほんわか博士生活(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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