高血圧の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年6月12日 10時46分
高血圧そのものは「症状がない」
高血圧の一番恐ろしいところは、「自覚症状がないまま進行してしまう」という点です。
血圧は常に変動しているものですが、何らかの原因によって血圧のベースが上がってしまい、常に収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上となっていても、すぐに「血圧が高い」と自覚できるような症状は出ていません。
血圧は、全身の隅々にまで血液を送るための圧力であるため、必要以上の圧量が常にかかっている状態だと、少しずつ、さまざまな臓器や器官に影響を及ぼします。
高血圧によって起こるリスク
高血圧によって引き起こされる病気は多数ありますが、高血圧によって直接影響を受けるのが「動脈硬化」です。
人間の血管は、心臓のポンプ機能によって全身に血液が送るために、伸縮性に富んでいます。しかし、過度の圧力がかけられ続けてしまうことで、血管の伸縮性が弱まってしまい、血管そのものが厚く、そして硬くなってしまいます。これが「動脈硬化」です。
動脈硬化が起こると、血液を送り出す力が弱まってしまうため、特に多くの血液を必要とする器官に重篤な症状を引き起こすリスクが高まります。
高血圧に影響を受けやすい臓器
高血圧は全身のさまざまな臓器や器官に影響を及ぼしますが、その中でも特に影響を受けやすいのが「心臓」と「脳」、そして「腎臓」です。
心臓
心臓は、全身に血液をいきわたらせるために、常に拍動しなくてはいけません。そのため、心臓の内部はもちろんのこと、心臓の外側にも心臓そのものを動かすために「冠動脈」という比較的細い血管が張り巡らされています。
血圧が上昇すると、特にこの「冠動脈」が影響を受けやすく、冠動脈の一部が一時的に閉塞してしまうことで起こるのが狭心症であり、完全に閉塞してしまうのが心筋梗塞となります。心筋梗塞は死亡する場合もある特に重篤な病気となります。
また、高血圧によって血液を送り出しにくくなる中、心臓は通常よりも強い力をかけて無理やり血液を送り出そうとします。
そのため、高血圧が持続することで徐々に心臓の中でも、全身に血液を送り出す部分である「左心室」と呼ばれる部分の筋肉が肥大してしまうことで、心臓そのものの機能が落ちてしまう心不全を発症しやすくなってしまいます。
脳
脳は、人間が生きていく上でさまざまな器官や臓器を動かすいわば司令塔の役割を果たしています。そして、脳は司令塔の役割を果たすために常にたくさんの酸素とエネルギーを必要としているため、脳の内部には大小さまざまな血管が張り巡らされています。
高血圧が持続すると、脳内の血管が閉塞したり、一部が狭窄しやすくなるため、脳梗塞を引き起こすリスクが上昇します。また、血管の一部が破けてしまう脳出血のリスクも高まります。
脳梗塞や脳出血は、片麻痺や感覚障害、言語障害など発症した部位によりさまざまな症状を引き起こすため、その後の生活にも大きな影響を及ぼす恐れがあります。
腎臓
腎臓は、血液を濾して不純物を取り除く働きをしています。血液を濾す過程の中で、重要なのが腎臓内部にある細い血管です。
血圧が高い状態になると、腎臓内部にある細い血管が詰まりやすくなるため、血液を濾す機能が低下してしまい、腎臓の機能そのものが低下する腎不全状態となります。
腎不全は進行すると、機械の力によって血液をろ過する人工透析を受けなければいけなくなります。