高血圧の治療
公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年6月12日 10時49分
高血圧の種類と治療法
高血圧には、大きくわけて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。そのうち、二次性高血圧については高血圧の原因となる疾患を治療することで高血圧そのものも寛解しますが、本態性高血圧は遺伝的要因と環境的要因が重なり合うことで発症するため、治療にもさまざまな種類があります。
生活習慣の改善
本態性高血圧の場合、生活習慣の改善による血圧のコントロールが重要となります。高血圧と診断された当初は内服による治療が必要であっても、生活習慣を改善することで薬を内服しなくてもよくなるケースがあります。
指導される主な生活習慣の改善は、次の通りです。
減塩
特に高齢の高血圧患者さんに対しては、減塩療法が有効な場合が多くあります。日本人の平均塩分摂取量は一日あたり11~12gですが、減塩指導の場合は塩分の摂取は一日あたり7g以下を目標とします。
食生活の大幅な変更をする必要があるため、いきなり7g以下を目標とするのではなく、食欲が減退しない、適度な数値から目標にしていき、最終的に7gとなるようにしていく必要があります。
カリウムの摂取
カリウムの摂取が不足していると、高血圧の頻度が上がることがわかっているため、カリウムの積極的な摂取が奨励されます。カリウムは主に野菜や果物に多く含まれています。
一方で、カリウムの過剰な摂取は腎臓の負担になってしまったり、降圧剤の内容によってはカリウムが体内にたまりすぎて高カリウム血症を引き起こす危険もあるため、医師や薬剤師に相談をして、自分の適量を知っておく必要があります。
運動療法
運動を長期間継続して行うことにより、収縮期血圧が20mmHg、拡張期血圧が10mmHg以上の低下を認めたというデータがあるほど、運動と血圧は深く関係しています。
スポーツジムに行って行うような積極的な運動でなくても、ウォーキングやサイクリングといった軽めの運動を一回につき30~40分,週に3~5回行うことが奨励されています。
特に高齢者の場合は、運動を制限しなくてはいけない病気を併発していることもあるため、運動を始める前には必ず主治医に運動を行ってもよいか確認してから行うようにしてください。
体重制限
身長を2乗し、体重を割ることで出る数値を「BMI」といいます。BMIが25以上となると「肥満」と診断され、高血圧が悪化するリスクが上昇することから、25以下となるように減量を行います。
過度な減量は栄養状態を悪化させる恐れがあるため、栄養バランスを考えながら、適切に行う必要があります。
飲酒制限
過度な飲酒は高血圧を助長しますが、 一日あたり、日本酒なら1合ほど、ウイスキーならシングル一杯程度ならば、血圧への影響は少ないといわれています。
薬物療法
特に本態性高血圧の場合、降圧剤による治療によって有意に血圧をコントロールすることができます。一方で、降圧剤が効きすぎてしまい低血圧症状を起こしてしまうこともあるため、一人ひとりにあった降圧剤の処方が必要となります。
降圧剤にはさまざまな種類があり、一部の種類は飲み合わせや食べ合わせによって効果が薄くなったり、逆に効きすぎてしまうこともあるため、内服については注意が必要です。
また、降圧剤を自己中断してしまうとそれまで薬によって押させられていた血圧が急激に上がってしまい、様々な病気を発症するきっかけとなってしまうため、医師の指示通り正しく内服することが重要となります。