掻痒症(そうようしょう)
公開日:2017年6月28日 14時00分
更新日:2019年6月13日 10時50分
掻痒症(そうようしょう)とは
掻痒(そうよう)、つまり「かゆみ」は高齢者にとって非常につらい訴えです。かゆみは皮膚の表面に分布している神経が脳に伝わっておこるとされていますが、まだよくわかってないことも多いのです。かゆみは発疹がある、つまり皮膚に変化があるものと、発疹がないのにかゆみがあるものに簡単にわけられます。掻痒症は皮膚に発疹や目立った異常がないのにかゆみだけがあるでる病気です。
皮膚に発疹があるかゆみの原因と治療
皮膚に発疹があってかゆみがある場合はまずその診断が大切です。
高齢者に多いのは湿疹・皮膚炎です。特に皮脂欠乏性湿疹は冬に多く、老人性乾皮症がもともとの原因で、それをひっかくことによっておこります。これは適切に保湿剤を用いることで多くは軽快しますが、悪化して湿疹になってしまうと適切な外用療法、内服療法が必要になります。また、再発予防のために冬の乾燥する間のスキンケアも非常に大切です。
一方、蕁麻疹(じんましん)の痒みは外用治療が無効なことが多く、内服治療がおこなわれます。その他に疥癬(かいせん)、痒疹(ようしん)、白癬やカンジダなどによる真菌、つまりカビの感染による痒みがあり、診断に応じた治療が必要です。
皮膚に発疹がないかゆみの原因と治療
皮膚に明らかな発疹がなく、体にかゆみがある場合は皮膚が乾いてできる老人性乾皮症である場合が多く、空気が乾燥する冬によくおこります。この場合は皮膚の乾燥を予防することで症状がやわらぎます。詳しい方法については後述します。
また、汎発性皮膚掻痒症とよばれ、肝臓疾患や腎臓疾患、透析にともなってかゆみがおこることもあります。もともとの疾患の治療をしてそれがよくなければ、痒みも並行して改善することが多いのですが、そうならない場合も多く、治療が難しいことも多くあります。
また、高齢者では肛門周囲や陰部に限局するタイプの皮膚のかゆみがおこります。これらの場所では皮膚が非常に薄く、湿疹の薬であるステロイド外用剤の副作用が出やすい傾向にあります。飲み薬を中心に治療することが良い結果をうみます。
かゆみの治療と高齢者のスキンケア
かゆみは原因に応じた治療が行われる必要がありますが、一般的にかゆみ止めと呼ばれる抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服薬が処方されることがあります。これらはかゆくて病変を掻いてしまって、またその皮膚が悪化するという、悪循環を断ち切るのに必要です。医師の指示を守って服用しましょう。
高齢者のスキンケアの注意点
かゆみがある高齢者のスキンケアの注意点がいくつか挙げられます。入浴は熱すぎるお湯をさけ、あまり長い風呂はさけるようにします。石鹸は通常使用できますが、あまり皮膚の脂を取り除いてしまうように過度に洗うことは避けるようにします。あとナイロンタオルなどの物理的な摩擦をさけるようにします。保湿剤は入浴後の皮膚が少し湿った時に外用すると効果的です。
掻痒の多くは適切なスキンケアで緩和することができますが、なかなかよくならない場合には適切な対処が大切です。