変形性関節症
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2024年9月10日 13時25分
変形性関節症とは
変形性関節症とは、さまざまな原因により徐々に関節が変形し、関節の痛みや腫れをきたした状態です。関節表面の軟骨がすりへり、加えて関節内部を裏打ちする滑膜(かつまく)に炎症がおき、しだいに関節周囲の骨の変形も生じます。変形は数年から数十年かけて進行します。最終的には関節の動きに制限が生じ、日常生活にも支障をきたすようになります。
関節の変形は、加齢による変化に、運動・ケガ・体重などによる機械的刺激や、感染症による炎症の刺激などが加わることで進行します。変形した関節をもとに戻すことはできないので、早めに対策が必要です。
変形性関節症の疫学
変形性関節症の患者さんの人数は、年齢とともに増加します。60歳以上の人口の80%以上で、膝関節・肘関節・股関節・背骨に、変形性関節症の所見をみとめるという報告もあります。
症状は、手足や背骨など全身のあらゆる関節におこります。とくに体重を支える膝関節、股関節や、背骨の腰の部分(腰椎:ようつい)に症状が出ると、日常生活に支障が出やすくなります。
膝関節の場合は「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう、へんけいせいしつかんせつしょう)」、股関節の場合は「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」と呼ばれます。とくに変形性膝関節症の患者は多く、自覚症状がある患者数は1000万人、自覚症状がない(レントゲン画像上の変化のみ)人数も合わせると3000万人の患者がいるといわれます。患者の性別は、女性のほうが男性よりも1.5〜2倍多く認めます。一方、変形性股関節症の患者は120万〜510万人いるとされ、9割が女性です。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は膝関節の疼痛や日常生活動作障害等を特有の症状とする、膝の関節軟骨の変性を主体とした運動器疾患のことです。この変形性膝関節症は高齢者に多く、日本における患者数は65歳以上では55%と高いため、国民病であると言われています。
そのため、現在健康なヒトに対しては、膝関節軟骨を正常に保ち続けることで、変形性膝関節症にならないように予防することが重要です。また、既に変形性膝関節症に罹患してしまった人に対しては、運動を中心としたリハビリテーションにより症状の進行を予防することが期待されています。
変形性関節症の経過
変形性関節症は、時間とともに進行します。関節に負担がかかると軟骨がすり減ることにより、軟骨下の骨組織が破壊され、関節の変形が進行します。症状が進むと、関節に力をかける動きや、関節を曲げる動きに、痛みを伴うようになります。さらに悪化すると安静にしていても痛みを伴うようになり、睡眠が妨げられる場合もあります。
変形性膝関節症や変形性股間症の場合、進行すると、症状を認める側の足に体重をかける動きや、下肢を曲げる動きにより強い痛みが生じます。そのため、歩行や、しゃがむ、靴下をはく、などの日常動作が困難となります。
変形性関節症の類似疾患
変形性関節症と似た病気には、以下のようなものがあります。症状の経過や、レントゲン・MRIなどの画像撮影、ときに血液検査や関節液検査により、鑑別診断を行います。
- 関節リウマチ
- 結晶性関節炎(痛風、偽痛風など)
- 化膿性関節炎
- 外傷(靭帯損傷など)
- 骨壊死