高齢者のボランティア
公開日:2019年7月30日 09時40分
更新日:2023年8月 3日 14時23分
ボランティアとは何か1)
ボランティアとは、「自由意志」「自ら進んでやること」を意味し、語源はラテン語です。日本では一般的にボランティアとは、「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」とされています。ボランティアには次のような原則があります。
- 自発性:自由な意志で行なうこと
- 無償性:利益を求めないこと
- 社会性:公平に相手を尊重できること
- 創造性:必要に応じて工夫できること
ただし、一部のボランティアでは、活動を行った際の実費、交通費、さらにはそれ以上の金銭を得る場合もあり、この場合は「有償ボランティア」と呼びます。
ボランティアは、個人で行うこともありますが、一般的には各自治体の「社会福祉協議会」などが管轄しており、同じ地域の中でも複数のボランティア団体があります。社会福祉協議会には「ボランティアセンター」(リンク1)が設置されており、ボランティアをしたい人と、ボランティアをしてほしい人とを結びつける役割があります。
ボランティアは、ボランティア団体や地域ボランティア(自治体など)がありますが、大きなイベントの運営スタッフなどの場合は、イベント前に募集することがあります2)。
ボランティアの活動の状況
日本には大小さまざまなボランティア団体がありますし、個人で活動している方もいます。まずは、ボランティア団体数の推移と、団体所属のボランティア人数の推移をみてみましょう(図1、表1)。
平成29年(2017年)時点では、ボランティア団体が193,608団体、団体に所属しているボランティアは612万人ほどいます。
次に、個人のボランティア人数の推移を見てみましょう。
平成29年(2017年)時点、個人で活動するボランティアは、94万8千人あまりです。個人と団体所属とを合わせると、全国には706万8千人あまりのボランティアがいます(図2、表1)。
ボランティア団体数 | 団体所属ボランティア人数(単位:人) | 個人ボランティア人数(単位:人) | ボランティア総人数(単位:人) | |
---|---|---|---|---|
1984年 | 24,658 | 2,411,588 | 144,020 | 2,555,608 |
1985年 | 28,462 | 2,699,725 | 119,749 | 2,819,474 |
1986年 | 28,636 | 2,728,409 | 147,403 | 2,875,812 |
1987年 | 32,871 | 2,705,995 | 182,290 | 2,888,285 |
1988年 | 43,620 | 3,221,253 | 164,542 | 3,385,795 |
1989年 | 46,928 | 3,787,802 | 114,138 | 3901,940 |
1991年 | 48,787 | 4,007,768 | 102,862 | 4,110,630 |
1992年 | 53,069 | 4,148,941 | 126,682 | 4,275,623 |
1993年 | 56,100 | 4,530,032 | 159,349 | 4,689,381 |
1994年 | 60,738 | 4,823,261 | 174,235 | 4,997,496 |
1995年 | 63,406 | 4,801,118 | 249,987 | 5,051,105 |
1996年 | 69,281 | 5,033,045 | 280,501 | 5,313,546 |
1997年 | 79,025 | 5,121,169 | 336,742 | 5,457,911 |
1998年 | 83,416 | 5,877,770 | 341,149 | 6,218,919 |
1999年 | 90,689 | 6,593,967 | 364,504 | 6,958,471 |
2000年 | 95,741 | 6,758,381 | 362,569 | 7,120,950 |
2001年 | 97,648 | 6,833,719 | 385,428 | 7,219,147 |
2002年 | 101,972 | 7,028,923 | 367,694 | 7,396,617 |
2003年 | 118,820 | 7,406,247 | 385,365 | 7,791,612 |
2004年 | 123,300 | 7,407,379 | 386,588 | 7,793,967 |
2005年 | 123,926 | 7,009,543 | 376,085 | 7,385,628 |
2006年 | 123,232 | 7,211,061 | 702,593 | 7,913,654 |
2007年 | 146,738 | 7,585,348 | 742,322 | 8,327,670 |
2009年 | 170,284 | 6,687,611 | 616,478 | 7,304,089 |
2010年 | 173,052 | 7,414,791 | 1,104,600 | 8,519,391 |
2011年 | 198,796 | 7,495,950 | 1,182,846 | 8,678,796 |
2012年 | 205,296 | 6,646,619 | 1,220,002 | 7,866,621 |
2013年 | 210,936 | 6,542,850 | 1,066,637 | 7,609,487 |
2014年 | 269,964 | 6,184,493 | 1,003,195 | 7,187,688 |
2015年 | 269,588 | 6,121,912 | 985,642 | 7,107,554 |
2016年 | 186,294 | 6,114,907 | 931,661 | 7,046,568 |
2017年 | 193,608 | 6,120,253 | 948,150 | 7,068,403 |
高齢者のボランティアの活動
全国社会福祉協議会が平成22年(2010年)に公表した「全国ボランティア活動実態調査報告書」によると、ボランティアの構成メンバーの年代は60歳代が多く、以下の9つの活動分野で「60代」が80%以上と、もっとも多くなっています4)。
- 障害者の福祉活動
- 高齢者の福祉活動
- 教育、文化、スポーツ振興
- 地域の美化・環境保全に関する活動
- 子育て(乳幼児)に関する活動
- 青少年(児童)の健全育成に関する活動
- 災害時のボランティア活動
- 自治会・町内会・地区社協・福祉委員・子ども会等の活動
- まちづくりなどに関する活動、健康や医療に関する活動、防災、防犯、交通安全などの活動
また、総務省統計局が公表している「平成28年(2016年)社会生活基本調査 ―生活行動に関する結果―」によると、活動内容としては「まちづくりのための活動」や「子供を対象とした活動」を行っている人が多いようです。
男性の1位はまちづくりのための活動、2位は子供を対象とした活動でした。一方、女性の1位は子供を対象とした活動、2位はまちづくりのための活動となっています5)。
ボランティア活動は前述の通り、自由な意思で行う活動です。ボランティアの活動内容としては、まちづくりや子供を対象とした活動を行うことが多く、地域から必要とされる存在といえます。