聴覚障害者の介護
公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年7月17日 11時52分
聴覚障害者の訴えを十分に聞くことが大切
聴覚障害者のコミュニケーションの手段には、口話、筆談、手話、指文字があります。口話は、聴覚障害者が話し相手の口や唇の形を見て話を読み取ることです。介護する場面では、聴覚障害者に対面し、口型がはっきりわかるように、ゆっくりと話す必要があります。また、口元がはっきりわかるように立つ位置にも注意する必要があります。手話や指文字は、聴覚障害者にとって確実なコミュニケーション手段であり、介護者は手話や指文字の基本を学習しておくこともよいでしょう。心理的援助を行い、訴えを十分に聞くことが大切です。また聞こえないことで発生する事故に注意を図ります。
コミュニケーション手段
1)補聴器
補装具としての補聴器の交付および修理が行われます。補聴器は、コミュニケーション能力の回復をはかるためには最も広く用いられていますが、装着するとすぐに効果があるものではなく、一定期間装用訓練が必要です。特に生まれつきの聴覚障害の場合、音声言語の学習を含めた長期間にわたる教育訓練が必要です。障害者総合支援法による障害者手帳の保持者には、難聴の程度に応じて補聴器の支給を受けられる制度があります。
2)ファックス
障害者総合支援法に基づいて日常生活用具として給付されているファックスは、聴覚障害者でも遠くにいる友達に直接連絡することができるようになり、コミュニケーションの改善に大いに貢献しています。
3)口話、筆談、手話
聴覚障害者が聴覚以外の感覚を用いてコミュニケーションを行う方法として、口話、筆談、手話などがあります。
口話は、唇の動きや表情の変化などによって相手の言っていることを理解する方法です。しかし、唇の動きや表情の変化だけで、音声言語をすべて理解することができず、限定的な場面にしか用いることができません。
筆談は、書いて意志を伝える手段で、読み書きする能力が十分であれば、正確に伝えることができます。しかし、筆談は、書くという労力が必要であること、話すことに較べて時間がかかることなどの欠点がみられますが、手話を理解できない聴覚障害者にとっては有効なコミュニケーション手段です。
手話は、聴覚障害者のコミュニケーション手段として最も用いられている方法です。
聴覚言語障害者更生施設
聴覚障害者への補聴器装用訓練、口話や手話の訓練など、社会的リハビリテーションを行う施設として、聴覚言語障害者更生施設があります。
相談指導
聴覚障害者は、聴力での情報が入らないこと、また人とのコミュニケーションが不自由なために、さまざまな場面で対人的な問題に直面します。聴覚障害者の相談指導に関しては、身体障害者相談員の制度があります。原則的には、地域の実情をよく知っている聴覚障害者が相談にあたっています。
情報対策
手話通訳者や要約筆記奉仕員を活用するのもよいでしょう。テレビでの字幕付番組、手話番組、ビデオカセットライブラリーなども利用することもよいでしょう。最近では聴覚障害者用情報受信装置が多く利用されています。