胆石症
公開日:2017年6月30日 09時31分
更新日:2019年6月12日 14時31分
胆石とは
胆汁は肝臓で作られ、いったん胆嚢にためられて濃縮された後、食事の刺激で総胆管を通り十二指腸に排出されます。この胆汁の通り道にできる結石を胆石といいます。
胆石症の分類
胆石症は、胆嚢、総胆管および肝臓内で発症するものに分けられます(それぞれ、胆嚢結石、胆管結石、肝内結石と言います)。
胆石症の原因
胆石症の発症の原因はコレステロールによるものが約60%と大半を占めています。コレステロール胆石は、肝臓で作られる胆汁がコレステロールで飽和してしまうと、コレステロールの結晶ができやすくなることで起こります。
胆石が発症する要因として、加齢、肥満、女性、妊娠、過激なダイエット、小腸の病気、薬剤、食習慣などが挙げられます。
胆石症の症状
胆石症の症状は、右の上腹部から中心部が痛くなり、右の背中から肩まで広がることがあります。胆嚢結石は食後に急に発症する激しい痛みが典型的です。
短時間で治まる場合と、鈍痛が持続する場合があります。後者は胆嚢炎や胆管炎を起こしていることが考えられます。
胆嚢結石は健診などで偶然に発見されることもあります。肝内結石は無症状のことがほとんどです。
胆石症の診断
超音波検査
胆石の場所や大きさを見ます。安全なスクリーニング検査として検診でも用いられています。
腹部CT検査
石灰化した胆石が分かります。治療の決定に役立てます。
MRCP(MRIの胆膵管撮影)
超音波検査で分かりにくい総胆管結石の診断に使われます。
ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)
内視鏡を使い十二指腸から胆管を直接造影する方法です。詳細な胆道造影所見に加え、内視鏡所見が診断に有用になることもあります。IDUS(管腔内超音波検査)をすることもあります。治療も同時にできるメリットがあります。
PTC(経皮的胆道造影)
お腹の上から針を肝臓に刺して胆管を造影します。
経静脈胆道造影
造影剤を点滴して胆道をみる検査です。CTと組み合わせる方法もあります。
EUS(超音波内視鏡)
先端に超音波のついた内視鏡で胆嚢などを見ます。
胆石症の治療
基本的に無症状の胆嚢結石は治療せずに経過観察します。
胆嚢結石の治療
胆嚢結石の治療としては次のようなものがあります。
- 経口溶解療法(薬で胆石を溶かす方法):小さなコレステロール胆石に限られます。
- 腹腔鏡下胆嚢摘出術:小さな穴を開けて胆嚢をとります。
- ESWL(対外衝撃波結石破砕術):衝撃波で石を割ります。
- 通常の胆嚢摘出術。
胆管結石の治療
胆管結石の治療としては次のようなものがあります。
- 内視鏡的治療:上記のERCPに引き続き直接石を取ります。
- 外科的治療:胆嚢胆管結石を一度にとる場合や、内視鏡治療の及ばない場合にします。
胆嚢胆管結石の治療
肝内胆管結石の治療としては次のようなものがあります。
1. 外科的治療:手術で石をその周囲の肝臓とともに切除する。
2. 内視鏡治療:上記のPTCに引き続き内視鏡的に砕石します。
胆石症の治療法は主治医にまずは相談を
発生部位や大きさ、症状あるいは個数によって胆石の治療法は異なります。主治医の先生と治療法についてご相談ください。