胆嚢炎・胆管炎(たんのうえん・たんかんえん)
公開日:2017年6月30日 09時45分
更新日:2019年6月21日 11時31分
胆嚢炎・胆管炎とは
胆嚢炎・胆管炎とは、胆嚢や胆管に細菌が感染して起こる病気で胆嚢結石、胆管結石、胆泥(胆汁中の結石となる前の泥状の浮遊物)と合併する場合がほとんどです。しかし、明らかな結石がなくても胆嚢炎あるいは胆管炎が起こることもあります(無石胆嚢炎)。
胆管は十二指腸とつながっていますので、逆行性に腸より大腸菌などの細菌が流入して炎症がおきる場合が多いと考えられています。
胆嚢炎・胆管炎の症状
胆嚢炎・胆管炎の症状は、右上腹部の痛み、黄疸、発熱が見られます。さらに、症状が悪化すると、胆汁中で繁殖した細菌が血行性に全身に広がる敗血症、DIC(出血が止まらなくなる状態)を併発して、意識状態が悪くなったり、ショック状態(血圧が下がる)となることもあります。
胆嚢炎・胆管炎の診断
胆嚢炎・胆管炎の診断は、採血で著明な炎症所見(CRPの高値、白血球の増多)が見られます。また、胆道系酵素(アルカリフォスファターゼ、γ-GTPなど)が優位に高値をしめす肝障害のパターンをとります。
腹部超音波やCT検査で胆嚢の状態を観察して、胆嚢炎の原因を探ります(結石、腫瘍など)。また、胆嚢の周りの膿の有無、腹膜炎を併発しているか否かを検索します。
胆嚢炎・胆管炎の治療
胆嚢炎・胆管炎の治療は、原則的に絶食とし、抗生剤の点滴をします。血液データや腹部超音波やCT検査で、保存的治療のみでは困難と判断した場合には、胆嚢を針でさして膿をだしたり、膿を出すために管を入れることもあります。
胆管炎の場合は原因となっている結石をERCPに引き続いて、砕石、除去します。また、肝臓の中にある胆管へ針を刺して膿を体外にドレナージ(排出)することがあります。
胆嚢炎、胆管炎は敗血症、DICを併発して、急速に重篤(じゅうとく:症状が非常に重いこと)な症状を呈する場合があります。
特に、高齢の方は、症状が比較的乏しいのにもかかわらず、受診時にすでにかなり重症の状態となっている場合があるので、特に胆石症と診断されている方で、右上腹部痛、発熱などの症状が出現した場合には早期に受診して治療を受ける必要があります。