腰部脊柱管狭窄症の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年2月 7日 18時38分
腰部脊柱管狭窄症は、さまざまな病態により脊柱管が狭くなり、殿部から下肢の痛みやしびれをきたした状態です。明確な原因が明らかになっていないこともあり、診断基準は作成されていません。しかし、診断基準案として、以下のようなものが検討されています。
腰部脊柱管狭窄症 診断基準(案)
下記の4項目をすべて満たす場合に腰部脊柱管狭窄症と診断する
- 殿部から下肢の疼痛やしびれを有する
- 殿部から下肢の疼痛やしびれは立位や歩行の持続によって出現あるいは増悪し、前屈や座位保持で軽快する
- 歩行で増悪する腰痛は単独であれば除外する
- MRIなどの画像で脊柱管や椎間孔の変性狭窄状態が確認され、臨床所見を説明できる
ほかに、患者の年齢、既往歴(糖尿病や動脈硬化)、下肢症状の状態などを点数化した、腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツールが作成されており、画像所見とあわせて使用されています。
腰部脊柱管狭窄症の診察
診察では、以下のような項目がチェックされます。これらにより、類似疾患との鑑別、および治療方針の検討が行われます。
問診
年齢、病歴や既往歴を詳しく問診します。とくに、どのような姿勢、どの程度の歩行により症状が出るのか、どのように休むと改善が得られるのかを確認します。
身体所見
腰痛の有無、痛みやしびれのある部位を確認し、感覚障害・運動障害(筋力低下)・反射異常などの神経学的所見をチェックます。閉塞性動脈硬化症とまぎらわしい場合には、下肢の動脈硬化の状態も確認します。
レントゲン検査
腰椎のレントゲン検査を行い、背骨の状態を確認します。レントゲンでは変形性腰椎症の程度、腰椎すべり症の有無、などから、脊柱管の状態を推定することができます。
MRI検査
レントゲンには骨しかうつらないため、詳しく検査を行う場合にはMRIを使用します。MRI検査により、実際にどの程度脊柱管が狭くなっているのか、椎間板や関節・靭帯の状態はどうなのか、神経への圧迫状態はどうなのか、その他の合併異常がないか、を確認できます。
CT検査、脊髄造影検査
MRIを撮影できない患者さんや、MRIのみでは診断がつかない場合、手術に備えてより詳細に検査したい場合には、CT撮影や脊髄造影検査を行うこともあります。脊髄造影検査では、神経の狭窄度を、実際に目で見て確認することができます。