関節リウマチの治療
公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 1日 22時13分
治療には、関節リウマチそのものに対する薬物療法、および疾患により生じた関節変形に対する手術療法があります。
薬物療法
関節リウマチの治療の基本は薬物療法です。
以前は、抗炎症薬などで治療を開始し、徐々に強い薬に変更する方法が行われていました。しかし近年、早期に強力な治療を行うほうが、病気の進行を抑えられることがわかってきました。そのため現在では、関節リウマチと診断されたら、できるだけ速やかに、「抗リウマチ薬」による積極的加療を行い、疾患の活動性を抑えることが推奨されています。
薬物療法で用いられる薬には、以下のようなものがあります。
抗リウマチ薬
免疫を調節したり(金製剤など)、抑制したり(メトトレキサート、タクロリムスなど)する作用をもちます。効果が出るまでに通常2~3ヶ月かかります。また、患者さんにより効き方が異なるという特徴もあります。副作用の発現率が20~50%と高いため、投与時は血液検査やレントゲン検査を頻回に行います。
非ステロイド性抗炎症薬
鎮痛、解熱、消炎作用を持つ薬で、局所症状を和らげるのに有効です。しかし、関節リウマチの疾患の進行を抑える効果や、関節破壊を抑制する効果はありません。また、副作用に胃腸障害や、腎障害があり、注意が必要です。
ステロイド薬
関節リウマチによる炎症を抑制し、関節破壊を抑制する効果があります。しかし、様々な副作用を持つ薬でもあり、長期間、大量に投与する場合はとくに注意が必要です。開始時・減量にあたっては、投与量を慎重に変更する必要があります。
生物学的製剤
関節リウマチの炎症に関わる化学物質(炎症性サイトカイン)、TNF(tumor necrosis factor)をターゲットとした分子標的薬で、すべて注射薬です(平成28年6月現在)。重篤な副作用の危険性があるため、抗リウマチ薬の通常量を3ヶ月以上継続してもコントロール不良の患者さん、もしくは抗リウマチ薬による治療歴がなくてもすでに関節リウマチが進行しており活動性が高い患者さんで、感染症のリスクが低い患者さんに対して用いられます。
副作用のなかでは、免疫が低下することから感染症に罹患しやすくなることが重要です。とくに、細菌性肺炎や真菌・結核などの日和見感染症のリスクが高く、定期的なレントゲン検査や血液検査が必要となります。
手術療法
関節リウマチが進行し、関節破壊が強く、装具などによる保存的治療では不十分な場合、手術により疼痛の軽減や機能回復をはかります。滑膜切除や、腱などの修復、人工関節置換術などがあり、組み合わせて行われる場合もあります。
滑膜切除
関節における滑膜の増殖が著しく、痛みや関節機能制限の原因となっている場合に行われます。
人工関節置換術
関節の骨破壊が著しい場合は、人工関節に置き換える手術をすることで、関節機能の回復をはかります。