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虚血性心疾患の治療

公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年6月20日 17時38分

虚血性心疾患の治療方法

 虚血性心疾患の治療方法は、大きくわけて二つあります。それが、「薬物療法」と「再灌流(さいかんりゅう)療法」です。

 虚血性心疾患の中でも、狭心症では主に薬物療法を行い、経過を見ながら再灌流療法を行いますが、心筋梗塞の場合には、迅速な再灌流療法を行うことが重要となっています。

薬物療法

 狭心症の場合、重要となるのが「再び狭心症の状態を起こさせない」そして「血栓を作って血管をふさがないようにする」ことです。では、それぞれの薬について、さらに細かく見ていきましょう。

抗狭心症薬

 よく心臓の発作時に薬を飲み、症状が落ち着くというシーンがドラマなどでもありますが、それはこの硝酸薬によるものです。

 狭心症の発作が起こった際、速効性のあるスプレー式のものや、舌の下で直接溶かすことで硝酸薬を内服し、症状の改善を図ります。硝酸薬には動脈、静脈どちらの血管も拡張させる作用があるため、発作時に速やかに使用することで、発作を抑えることができます。

Ca(カルシウム)拮抗薬

 Ca拮抗薬も血管拡張作用がありますが、動脈と冠動脈にのみ効果があります。特に冠攣縮(かんれんしゅく)を抑制する効果があるため、異型狭心症にはきわめて有効です。

β遮断薬

 β遮断薬は他の二つとは違い、心臓そのものに働きかけ、心拍数や血圧などを低下させることで、心臓の筋肉が必要とする酸素量を減らす作用を出します。

抗血栓薬

 抗血栓薬は文字通り、血栓を予防するお薬です。狭心症の原因の一つとして、血管を血の塊である血栓が一時的にふさいでしまうことがあげられます。そのため、抗血栓薬にて血を固まりにくくすることで、狭心症の再発を予防する効果を期待します。

 抗血栓薬には「抗血小板薬」と「抗凝固薬」にわけられ、主に内服による投与を行いますが、中には注射による治療を行うこともあります。

再灌流療法(血行再建術)

 再灌流療法は、高度狭窄や閉塞してしまった冠動脈に対し、血行を再建させる治療法です。主に「血栓溶解療法」「カテーテル治療」「外科的血行再建術(バイパス術)」があげられます。

血栓溶解療法

 血栓によって心筋梗塞が起こっている場合、発症から12時間以内であり、ガイドライン上問題がなければ、「血栓溶解療法」が行われます。これは血栓溶解薬を点滴によって投与することで、血栓そのものを溶かすという治療法です。

 一見するととても良い治療法なのですが、一方で発症後すぐ行わないと効果が見られないこと、また副作用として出血を起こしやすくなってしまうため、脳出血などの合併症に注意が必要ということがあげられます。

カテーテル治療

 カテーテル治療では、太ももなどの太い血管からカテーテルを直接冠動脈まで通し、詰まってしまっている部分にアプローチする治療法です。方法としては、「バル―ン血管形成術」「粥腫切除術」「ステント留置術」などがあげられます。

バルーン血管形成術

 内部でバルーンを膨らませることで、狭窄部の血行を回復させる方法です。再発率が高いことから、現在では単独で行われることは少なくなっています。

アテレクトミー(粥腫・じゅくしゅ切除術)

 血管の内部にあるアテロームというゴミを削り取ることで、血管の内部を広げる方法です。

ステント留置術

 金属ステントをかぶせたバル―ンを狭窄部分で膨らませ、ステントを留置することで再び狭窄することを防ぐ方法です。以前は金属ステントが一般的でしたが、金属であるためにステント周囲に新しい内膜組織ができてしまい、再狭窄率が30%程度であったことから、現在では薬が溶け出すステント(DES)がよく行われるようになりました。

バイパス手術

 バイパス手術は、狭窄を起こした冠動脈と大動脈の間に新たなバイパスを作ることで、狭窄してしまった部位の先にも十分な血液が流れるようにする治療法です。バイパスとして使用する血管は、切り取っても問題ない、太ももなどの血管を使用します。

 この手術は、冠動脈が複数本閉塞している場合や、冠動脈の中でも重要な部分が狭窄してしまっている場合に適応となります。

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