勃起障害(ED)
公開日:2017年7月 4日 13時47分
更新日:2019年5月29日 14時45分
勃起障害(ED)とは
性交時に十分な勃起が得られないか、あるいは十分な勃起が維持できないために満足な性交が行えないことをいいます。以前は不能を意味する「インポテンス」と呼ばれていましたが、差別用語的な感じがあり、現在では「勃起障害」が正しい用語として使用されています。英語ではerectile dysfunction、略してEDといいます。最近では、新聞などにもEDの名前をよく目にするようになりました。
勃起は陰茎に血液が充満して生じます。人類でこのことに初めて気がついたのは、かのレオナルド・ダ・ビンチでした。陰茎海綿体内の螺行(らこう)動脈と呼ばれる特殊な動脈が拡張することにより急速に血液が陰茎海綿体内に流入し、一方で、海綿体の外へ血液を流し出す静脈が陰茎海綿体を覆っている白膜と海綿体との間で圧迫されることにより流出障害が起こり、勃起が起こります。
勃起障害の原因
EDの原因は、機能性と器質性の2つに大きくわかれます。
機能性EDは若い人に多くみられ、その代表は新婚EDです。一方、中高年に見られるEDの多くは器質性で、神経や血管の障害、内分泌異常などが原因です。クエン酸シルディナフィル(商品名:バイアグラ)の登場で、中高年のEDが目立つようになりました。
血管系の異常がEDの原因につながることから、EDも生活習慣病のひとつとして認識されるようになってきました。規則正しい生活、適度な運動、適正な食事、ストレスからの開放が重要だというわけです。
機能性か器質性かの鑑別は、問診でだいたい見当がつきます。機能性では、性交はできなくても自慰は可能であったり、いわゆる「朝立ち」が認められます。正常男性は夜間睡眠中に数回勃起します。夜間に勃起現象があれば、機能性と診断することができます。
器質性のEDではさまざまな検査が必要となりますが、クエン酸シルディナフィルが発売されてからは、まずこの薬を飲んで勃起するかしないかを確認することがひとつの診断法になっています。
バイアグラ
クエン酸シルディナフィルや塩酸バルデナフィル(レビトラ)は5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)という酵素活性を阻害する薬剤で、陰茎海綿体平滑筋及び関連小動脈を弛緩させて陰茎を勃起させるサイクリックGMPという物質を増加させ、勃起を促進します。
健康な方には安全性の高い薬ですが、薬剤との組み合わせによっては重篤な問題が生じることがあるので、内服にあたっては主治医と相談して頂かなくてはなりません。これらの薬が効かなければ、EDを専門とする医師を受診して、精密検査を受ける必要があります。
有用な薬剤が開発され、多くの方がその恩恵を受けられるようになりました。しかし、中高年のEDはいわゆる生活習慣病として認識されるようになってきており、高年期でもうるおいのある人生を送れるようにするためには、若いうちから健康に気づかった生活を送る必要があります。