筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年2月 7日 18時37分
筋萎縮性硬化症を医師が診断することについてですが、分かり易い症状が出ている場合は判断がしやすいですが、初期の段階では他の神経性の病気かどうかといった判断も必要である為、診断が難しい点が多くあります。
正しく早期の判断を行う為には、神経内科の専門医が検査を行うことが望ましいでしょう。
筋萎縮性側索硬化症の判定基準とは
筋萎縮性側索硬化症の判定基準として、2008年国際臨床神経学会のAwaji基準が用いられます。身体に表れる症状以外にも、筋電図による判定、そして他の病気との判定と区別するために血液検査や脊髄や脳のMRIなどを行って判断します。
医師によって身体的な症状と心電図からの所見を参考に総合的に判断します。上位運動ニューロン、下位運動ニューロン、球機能(延髄に関係する)の運動機能の障害について、舌、顔面、喉、首、腕、手、背中、腹部、足の運動機能に関するもので筋力低下、神経伝達速度、痙攣、反射亢進※1、筋萎縮、線維束性収縮(せんいそくせいしゅうしゅく)※2や筋肉や筋の伸縮作用の時に起きる規則的な伸縮収縮作用があるかなどで判断します。
- ※1反射亢進
- 反射反応に強く反応すること。腱の収縮が強く、足などの腱なに強く見らやすい反応。
- ※2線維束性収縮
- 筋肉が自発的に不規則にぴくぴくと小さな皮膚の動き(痙攣)をおこす状態のこと。特に運動神経や脊髄の神経に障害が起きたときに起きると言わるもの。
そして、類似している他の神経性の病気ではないかを検査結果を見て筋萎縮性側索硬化症であると判定を行います。
筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン2013
ALS診断における必須事項
A.下記が存在する
- 下位運動ニューロン障害を示す臨床的あるいは電気生理学的所見
- 上位運動ニューロン障害を示す臨床的所見
- 症状の進行と初発部位から他部位への進展
B.下記が存在しない:除外診断
- 臨床症状(上位・下位運動ニューロン障害)を説明できる他疾患を示す電気生理学的あるいは病理学的所見
- 臨床所見,電気生理学的異常を説明できる神経画像所見
筋萎縮性側索硬化症と判断されるまでの期間はどのくらい
筋萎縮性側索硬化症の患者の方が病気を診断されるまでに、複数の病院を通い、平均して約1年かかるという結果があります。
理由としては、はじめに受診した病院が専門外などにより、筋萎縮性側索硬化症の症状を診る機会が少ない為、判断できないといったことがあります。
また、担当した医師が初期症状の場合、判断がつかないことが多く、専門の医師であっても初期の診断の判定が難しいといったことがあります。
筋萎縮性側索硬化症の早期検査と診断の大切さとは
進行性の病気の為、早い時期に検査をして診断することが大切です。理由としては以下のようなものがあります。
- 病気について知識が早く理解できて、不安が早く解決する
- 早くリハビリや治療を行うことができる
- 公的支援申請などが早く行うことができ、治療や介護を積極的に行うことができる
また、原因が分からないまま不安な状態を少しでも早く取り除くことができます。
そして、難しい難病とされていますが、早く病気のことを理解することで将来に起こる症状に早く対応できるといったメリットがあります。
また、早く診断されることで公的支援などを利用できることで治療の経済的な負担が軽減されます。