世界の健康寿命
公開日:2019年7月30日 09時00分
更新日:2023年1月13日 12時56分
健康寿命とは
健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標で、「日常生活に制限ない期間の平均」です。これは、日常生活動作が自立し、健康で過ごせる期間のことを指します1)2)。
日本は世界の中でも健康寿命が長い方なのですが、平均寿命※1も年々長くなっているため、平均寿命と健康寿命との差が大きくなることが懸念されています。平均寿命と健康寿命との差が大きくなると、介護が必要な期間が長くなり、個人の生活の質が低下するとともに、医療費や介護給付費などの社会保障負担も大きくなります。
そこで、厚生労働省は国民の誰もがより長く、元気に活躍できて、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障」の実現のため、人生100年時代を迎えようとする現在において、2040年までに健康寿命を男女とも2016年と比べて3年以上伸ばし、75歳以上とするという目標「健康寿命延伸プラン」を掲げています(リンク1)。
- ※1 平均寿命:
- 平均寿命とは、厚生労働省が毎年発表する「簡易生命表」による0歳時における予測平均余命のこと。亡くなった人の平均年齢ではなく、調査時点で生まれた0歳児が今の死亡状況が変わらなければ平均的に生きられる年齢のこと。
世界の健康寿命と日本の健康寿命の比較
世界の健康寿命のランキングをみてみましょう。WHO(世界保健機関)が発表している183か国を対象とした2019年の世界の健康寿命を見てみると、日本は健康寿命が長い国の1位にランキングしています。2位はシンガポール、3位は大韓民国、4位はスイス、5位はイスラエル、キプロス共和国です(表1)。
健康寿命の長い国の順位 | 国名 | 健康寿命(年) |
---|---|---|
1位 | 日本 | 74.1 |
2位 | シンガポール | 73.6 |
3位 | 大韓民国 | 73.1 |
4位 | スイス | 72.5 |
5位 | イスラエル | 72.4 |
5位 | キプロス共和国 | 72.4 |
世界の健康寿命の比較だけを見ると、日本は世界の中でも生涯、健康で過ごせる人が多い国だと思えますが、平均寿命と健康寿命の差も合わせて見てみましょう。
平均寿命と健康寿命の差
世界183か国のデータ中(同一の値は同じ順位として1~47位中)、健康寿命が長い国トップ5の国々の平均寿命と健康寿命の差は、シンガポールの27位から40位にランキングする結果となっています(表2)。
健康寿命が長い国は、平均寿命が健康寿命以上に長いため、平均寿命と健康寿命との差が大きくなり、健康が損なわれて介護が必要となる期間も長くなるのです。
健康寿命の順位 | 国名 | 健康寿命(年) | 平均寿命(年) | 平均寿命と健康寿命の差(年) | 平均寿命と健康寿命の差の順位 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 日本 | 74.1 | 84.3 | 10.2 | 33位 |
2位 | シンガポール | 73.6 | 83.2 | 9.6 | 27位 |
3位 | 大韓民国 | 73.1 | 83.3 | 10.2 | 33位 |
4位 | スイス | 72.5 | 83.4 | 10.9 | 40位 |
5位 | イスラエル | 72.4 | 82.6 | 10.2 | 33位 |
5位 | キプロス共和国 | 72.4 | 83.1 | 10.7 | 38位 |
では、反対に平均寿命と健康寿命の差が少ない国はというと、レソト、中央アフリカ共和国、キリバス、ソマリア、ミクロネシアなどです。これらの国は、平均寿命(50.7~63.0年)も健康寿命(44.2~56.0年)も短いのが特徴です。