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皮下脂肪の測定方法(キャリパー法)

公開日:2016年7月25日 05時00分
更新日:2019年2月 1日 15時54分

皮下脂肪測定の目的・意義

 測定には、測定専用の皮下脂肪厚測定器(キャリパー)を用い、「キャリパー法」や「皮下脂肪厚測定法」と呼ばれます。ヒトの皮膚が0.5~2.0㎜と薄いため、キャリパー法では皮下脂肪の厚みを直接測定することができるといえます。

 体脂肪の蓄積は健康に悪影響を及ぼします。キャリパー法で皮下脂肪厚を測定することで体脂肪の状態を把握することができます。測定した皮下脂肪厚から体脂肪率を算出できるため、体脂肪測定計など測定機器がなくても簡単に測定することが可能となります。

皮下脂肪測定の方法(キャリパー法)

キャリパー法にて二の腕の皮下脂肪厚を測定している写真。体脂肪の測定方法にはキャリパー法や生体インピーダンス法があることを示す。

 皮下脂肪測定では、上腕背側部と肩甲骨下部の2カ所を測ります。この2カ所の測定に、へその横も加えた3カ所の測定もありますが、測定箇所が多くなることで誤差も大きくなるため2カ所での測定が推奨されています。測定する2カ所の皮下脂肪厚をキャリパーと呼ばれる測定機器で測定します。

キャリパー法の手順

 測定前に、キャリパーではさむ圧力が10g/㎟となるようにバネばかりの重さを調節します。測定部位は上腕背側部と肩甲骨下部です。計測者は対象者の測定部位をつまみ、つまんだ指から1cm程度離れたところをキャリパーではさみます。値が一定になったところで測定値を読み上げます。

 ここでの注意点は、つまんだ部位をはさむ際にキャリパーがななめにならないようにすることです。つまんだ部位に対して垂直にキャリパーを当てるように注意が必要です。

キャリパー法の体脂肪率の計算方法

 皮下脂肪厚と身体密度には高い相関があります。キャリパー法で測定した皮下脂肪厚から、身体密度(D)を推定し、体脂肪率を算出することができます。

長嶺と鈴木の式による身体密度(D)(g/cm³)の算出

男子 身体密度(D)=1.0913-0.00116×A

女子 身体密度(D)=1.0897-0.00133×A

A=上腕後部の皮下脂肪厚+肩甲骨下部の皮下脂肪厚(単位は㎜)

Brozekらの式による体脂肪率(%)の算出

体脂肪率(%)=(4.570÷(D)-4.142)×100

 この計算式で算出された体脂肪率が男性では20%、女性では30%を超えると肥満と判定されます。ただし人種、年齢、個人によって体脂肪蓄積の分布が異なることから、キャリパー法での肥満判定は慎重にしなければなりません。あくまでも目安として考えるとよいでしょう。

生体インピーダンス法との違い

 生体インピーダンス法とは、体内に微弱な電流を流し電気抵抗値(インピーダンス)を測定することで、上肢、下肢、または全身の体脂肪率を推定式から算出する方法です。インピーダンスから体脂肪率を推定するため、体内の水分量によって値が左右されます。

 一方キャリパー法は直接脂肪厚を測定できるので、測定時の状況によって値が大きく変わることはありません。しかし測定者によって誤差が生じることがあります。生体インピーダンス法とキャリパー法は同じ体脂肪率を測定する方法ですが、使用する機器も測定値からの体脂肪算出方法も全く異なります。対象者や測定環境に合わせて測定方法を選ぶとよいでしょう。

皮下脂肪の測定はどこでできるか

 キャリパー法による皮下脂肪の測定は、測定機器のキャリパーがあればどこでも測定することができます。ただし測定には測定技術を要するため、測定の専門家がいない場合は測定値が安定するように練習する必要があります。測定技術があれば自宅でもどこでも測定が可能になります。キャリパーは誰でも購入することができるため、いつでも簡単に測定したい場合には自分用を用意することもできます。また、キャリパーがなくても、つまんだ部位の厚みを物差しで測ればおおよその皮下脂肪厚を把握することができます。

 最近では、体脂肪率の測定は生体インピーダンス法が主流であるため、施設によってはキャリパーを置いていないことがあります。そのためキャリパー法で測定が可能かどうか施設に事前に問い合わせる必要があります。

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