義歯の取り扱い
公開日:2017年7月 5日 10時09分
更新日:2019年8月 6日 12時01分
高齢者の義歯装着のメリットと注意点
しっかり噛めておいしく食事ができることは人間の生活の中で大切な要素です。歯を失ったご高齢の方が食べる楽しみを再び得るには、よく機能する義歯が必要です。
また、義歯装着により口元の感じが良くなったり、発音がしやすくなるといった効果もあり、生活の質(QOL)の維持、向上に義歯は重要な役割を持っています。
義歯の出来具合とあわせて、義歯の取り扱い方法も重要です。お口の柔らかい粘膜の上に硬い義歯をはめるのですから、うまく使えるようになるまでには義歯の取り扱いに関する練習が必要です。義歯の主な取り扱いの注意点について述べます。
義歯の着脱
義歯の着脱について,総入れ歯の場合は簡単ですが,写真のような部分入れ歯の場合は,少しコツがいります。
義歯を外すときは,基本的には,歯の生えている方向に金具(クラスプ)を指ではずすと義歯もはずれます。
装着の場合は,金具(クラスプ)の位置を歯にあわせて,人工歯の部分を歯の生えている方向に押すと装着できます。
慣れるまでは、鏡をみながら位置を合わせて、手で丁寧に着脱して下さい。無理な力は変形の原因になります。
義歯の使用
- 義歯は慣れるまで時間がかかります。装着後も歯科医院での調整が必要です。
- 1日1回(就寝時など)、一定時間は義歯をはずすようにして下さい。義歯の下の粘膜に安静と回復を与えるために重要です。
- 義歯の使用により潰瘍(口内炎のような傷)ができて、痛みがある場合は使用を中断し、義歯調整のためにかかりつけ歯科医院を受診して下さい。 (リンク1参照)
- 食事はやわらかいものから徐々に始めて下さい。ご自身の歯のように固いものを食べるのは難しいかもしれません。
- 義歯を新製してすぐは話しにくく、またご自分の声と違うような気がすることがありますが、使っているうちに慣れて気にならなくなります。
義歯の洗浄・管理
- 義歯は汚れやすく、義歯使用者は義歯性カンジダ症に罹患(りかん:病気にかかること)しやすい。放置すると抵抗力の弱い高齢者の場合、カンジダ性口内炎に移行します。
- 洗浄は義歯用ブラシと義歯洗浄剤の併用が理想的です。洗浄は表面のぬるぬる感がなくなるまで行って下さい。義歯洗浄剤は、少なくとも1週間に2回は使用しましょう。
- 義歯は水や義歯洗浄剤につけて保管して下さい。乾燥したままでは変形の原因になります。
- 洗浄の際に落として破損したり、排水口に流さないように注意し、下に水を張った洗面器などを置くと良いでしょう。
- 保管場所はきちんと決めておいた方がいいでしょう。踏んだりしにくい場所に保管し、破損・紛失に注意しましょう。特に、ティシュペーパーに包むと、ゴミと間違えられて捨てられてしまうことがあるので注意して下さい。
歯・粘膜の清掃
- お口の中の歯がない部分はやわらかいブラシ、スポンジなどでやさしく清掃してください。
- 残っている歯はとても大切ですので、通常通り歯みがきをしっかりやって下さい。特にバネがかかる歯は汚れやすいので、念入りにみがいて下さい。
歯科受診が必要なとき
以下のような問題がある場合はすみやかに歯科受診してください。
- 義歯が歯肉にあたって傷ができている
- 食事が摂りにくい
- うまくしゃべれない
- 食事や会話中に義歯が外れる
特に歯肉の痛みがでたら、早期に受診することが大切ですが、受診するまでは義歯の使用を控えて傷を大きくしない方が賢明です。
歯科の定期検診
3~6か月おきの定期歯科検診をお勧めします。気がつかないうちに、噛み合わせが悪くなったり、歯がすり減ったりすることがあります。良い状態を長く保つために問題がなさそうな場合でも定期的に歯科受診をしましょう。