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遺伝子導入で時間を巻き戻す:視覚障害の回復へ向けて

公開日:2021年4月 7日 09時00分
更新日:2022年12月 2日 13時54分

 万能細胞ともいわれるiPS細胞、その応用の可能性は果てしない。山中メソッドでは皮膚の細胞に4種の遺伝子を導入して万能性の幹細胞へ変えた。いわば発生の時間を巻き戻したのだが、シャーレ上の培養細胞ではなく、組織内への導入で同じことが起これば、組織の若返り、若齢化が可能となるかもしれない。そんなチャレンジが眼組織で試みられた。山中の4因子のうち、癌化リスクのあるc-Myc以外の3因子をウイルスでマウスの眼球内へ導入。すると、視神経切断後の軸索伸展が助長され、視力も回復した。組織の老化にはDNAのメチル化促進が関係するが、山中の3因子の導入で網膜組織のメチル化も減少。老齢型から若齢型に変化した。生体内でもエピジェネティックなリプログラミングが人為的に可能となる、そんな期待を膨らませる。ハーバード大学のデービッド・シンクレアのラボからの結果だ。

文献

Lu Y, et al., Nature. 2020; 588:124-129

転載元

公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health No.97(PDF)(新しいウィンドウが開きます)

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