健康づくりのための運動の効果
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2024年2月16日 11時11分
健康づくりの運動の種類別の効果
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」1)及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」2)では、健康づくりのための運動として、ウォーキングや筋力トレーニング、ストレッチング、軽スポーツ、水中ウォーキング・エクササイズなどがあげられています。それぞれの運動の効果についてみていきましょう。
ウォーキングの効果
有酸素性運動であり、脂肪をエネルギー源とするので肥満解消や、血中脂質、血圧、血糖値の改善の効果があります。心肺機能の向上や、骨に刺激を与えて骨粗しょう症の予防も期待できます3)。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは、筋力の向上、筋肉量の増大を図り、加齢や運動器疾患によって低下する筋力・筋肉量の維持・改善を行うことができます。日常生活を送るうえで重要となる歩行や、立位・座位などの姿勢保持能力、物の操作を行うのに必要な筋肉を鍛えることができます。
ストレッチング
ストレッチングは、身体の柔軟性を高めて筋肉の距離を保ち、関節の運動性を確保します。怪我の予防として運動前に準備運動として行うことや、筋肉の疲労回復を促すために運動後の整理運動としても活用されています。血行が良くなり、リラクゼーション効果もあります。
軽スポーツ
軽スポーツとは、他のスポーツに比べて比較的負荷の少ないスポーツです。スポーツ・レクリエーションとも呼ばれ、インディアカ、カバディ、グランドゴルフ、ディスクゴルフなどがあります。軽スポーツは、スポーツを楽しみながら全身を使った運動ができること、仲間と共に行う楽しさや喜び、人とのつながりが生まれること、爽快感や達成感が得られやすいという効果があります4)。
水中ウォーキング・エクササイズ
陸上でのウォーキングやエクササイズに比べて水の浮力があることで腰や膝関節などへの負担が少ないこと、水圧によって血行が促され、肩こりの改善が期待できること、水の抵抗によって筋力向上や心肺機能の向上が促されます。陸上よりも水中の運動ではエネルギー消費量が多いので、体脂肪が減少し、肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善の効果も期待できます5)。
健康づくりの運動と生活習慣病予防
運動不足になると、内臓脂肪が蓄積して高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症しやすくなります。いくつかの生活習慣病を合併すると、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞、腎疾患などにかかるリスクが高くなるメタボリックシンドロームとなります1)。
有酸素運動を習慣的に行い、継続することは、エネルギーの消費量を増加させて体脂肪が減少し、肥満やメタボリックシンドロームの予防に効果があります。また、インスリン抵抗性が改善され、血糖値の低下や血管機能が改善されて血圧が下がる効果もあります。中性脂肪が分解されやすくなり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が増えることで血中脂質の改善効果もあります。虚血性心疾患や脳梗塞、乳がんや大腸がんのリスクを軽減する効果がある可能性も示されています1)。
健康づくりの運動の医学的効果
運動を行うことで科学的根拠の示されている医学的効果には以下のものがあります6)。
運動の医学的効果
- 動脈硬化性疾患(心筋梗塞など)にかかるリスクが低下する。
- 心肺機能が向上し、感染症にかかるリスクが低下する。
- 脳血流、ニューロンが増加し認知症にかかるリスクが低下する。
- 体温が上昇し、リラクゼーション効果が得られることで睡眠障害が改善する。
- 体脂肪を減らして肥満の予防・改善が図れる。
- ストレスの発散やリラクゼーション効果があり、うつや不安な気分の予防・改善が図れる。
- 筋力向上、バランス能力向上により、転倒リスクの低下やロコモティブシンドロームの予防が図れる。
- 自律神経機能が整い、便秘が解消する。
- 骨に刺激が加わることにより骨粗鬆症の予防となる。
- 乳がんや大腸がんにかかるリスクが低下する。
- 脂質異常症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防・改善。
- 筋力向上、筋肉量増大によりフレイルやサルコペニアを予防・改善する。
参考文献
- スポーツ・レクリエーション 公益財団法人日本レクリエーション協会