帯状疱疹の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年6月12日 13時28分
帯状疱疹と診断されるまで
帯状疱疹の経過
帯状疱疹は、発疹(皮疹)の状態やこれまでの経過で診断されます。まずはその経過をみてみましょう。
帯状疱疹はまず、帯状(おびじょう)に広がる神経痛から始まることが多いようです。多くの場合、体の右半分(あるいは左半分)に、背骨から体の中心線に向かって、左巻き(あるいは右巻き)に、神経の走行に沿って痛みが広がります。最初はチクチクと刺すような痛みや皮膚の違和感であることが多く、この状態が数日~1週間くらい続きます。この時、発熱やリンパ節の腫れなどがみられることもあります。
その後、痛みを感じた部分の皮膚に、強い痛みを伴った発疹(皮疹)が、帯状に広がっていきます。この状態は数日~1週間くらい続きますが、先に出来た発疹(皮疹)に水ぶくれができ、やがて発疹(皮疹)の中央部分に黄色い膿が溜まったような状態となり、ただれてくることもあります。この状態が、皮膚に現れた発疹(皮疹)全体に広がり、数日程度でかさぶたになり、やがて自然と剥がれ落ちます。
最初に神経の痛みが現れますが、その後に発疹(皮疹)が現れた時が、帯状疱疹を発症した時です。
帯状疱疹の診断
神経の走行に沿った痛み(神経痛)に続き、特徴的な発疹(皮疹)が認められ、これまでに(子供の頃など)水疱瘡(水痘)にかかったことがあるか、帯状疱疹を発症するような要因(加齢、疲労、ストレスなどによる免疫力の低下)が確認できれば、帯状疱疹と診断がつきます。
しかし、神経の痛みだけの段階で、水ぶくれができる前のまだ「見た目で判断できない段階」の場合は、帯状疱疹を発症しているのかどうか、血液検査で診断することもあります。血液中に含まれる、水疱瘡(水痘)ウイルスに対する抗体の量を調べるのです。
他の病気との鑑別診断(見分け)
帯状疱疹(帯状疱疹ウイルス)と似ている症状がみられる病気には、単純疱疹ウイルスによる「単純ヘルペス」があります。
単純ヘルペスは粘膜周辺に発症しやすく、2度3度と再発を繰り返します。発症する前に神経を刺激して、ピリピリするよう痛みを感じることもありますが、帯状疱疹のようなしつこい痛みや強い痛み、しびれなどはありません。このため、帯状疱疹と容易に区別することができます。単純ヘルペスの場合、入院を必要とするような重症化の心配はほとんどありません。帯状疱疹の回復が1~3カ月であるのに対して、単純ヘルペスは5~6日で治ってしまうことが多いです。
ほかには、接触皮膚炎(かぶれ)や、皮膚に水ぶくれができる水疱性類天疱瘡なども、発疹(皮疹)がみられる病気です。しかし、帯状疱疹のしつこくて強い痛みを伴うことはありませんので、こういったことからも鑑別診断が可能となります。
後遺症(帯状疱疹後神経痛)に要注意
帯状疱疹は、ウイルスがどんどん増殖しながら、神経の走行に沿って帯状に範囲を広げていく病気です。神経を攻撃するウイルスなので、その期間が長い、あるいはウイルスの力が強力な場合、神経に深刻なダメージを残す後遺症につながります。重症化させないためには、早めに受診して早めにウイルスの力を抑える「抗ウイルス薬による治療」を開始することがとても大切です。
帯状疱疹は、免疫力の低下が原因のため、高齢者での発症が多い病気です。帯状疱疹を発症して治療を受けた後も、抗ウイルス薬を使用しながら自分の病状に注意することが必要です。気をつけたい後遺症として「帯状疱疹後神経痛」があります。
帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の皮疹(水疱など)が消失し、帯状疱疹が治癒した後も続く痛みのことです。
帯状疱疹後神経痛になると、帯状疱疹の皮膚症状が回復しても、鈍く、熱く、突き刺すような痛みが続きます。この症状が原因でうつ症状や不眠になることもあります。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹後の痛みが3カ月以上続くことを指します。帯状疱疹の初期症状が重い人がなりやすく、発生率は全体のおよそ3%です。人によっては年単位で症状が継続してしまうケースもあるようです。
早期診断・早期治療が重要
帯状疱疹は、初期症状が軽い人よりも重い人の方が帯状疱疹後神経痛に移行しやすいため、やはり帯状疱疹初期の抗ウイルス薬の投与が重要とされています。中には、入院が必要なほど、重篤な症状になる場合もあります。また、顔面のしびれや高熱、眠れないほどの激しい痛み、発疹の広がりが治まらないような場合は、早めに再受診して今後の治療方法などを医師と相談してください。痛みに対する治療や皮膚に対する治療、全身状態に対する治療などさまざまな方法がありますので、我慢しないで早めに再受診しましょう。