脳梗塞
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2019年6月20日 17時20分
脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管の一部がなんらかの原因によって閉塞することで発症します。
脳の内部には太い血管を元として、細かい血管が張り巡らされています。そのため、同じ「脳梗塞」であっても、閉塞した血管の太さや部分によって、出現する症状も、症状の程度もさまざまとなります。
脳梗塞の原因
脳梗塞は、大きくわけて2つの原因があります。それが、「塞栓」と「血栓」です。
「血栓」はもともと高コレステロールや高血糖などが原因で血管の内部が狭くなってしまっている部分に、血の塊が詰まってしまうことで発症します。
一方「塞栓」は、血管内部は狭くなっていませんが、血の塊が突然すっぽりとはまってしまい、閉塞させてしまうことで発症します。
一般的に、血栓よりも塞栓のほうが重症となる割合が高くなります。
脳梗塞の種類
脳梗塞は、以下の3つの種類があります。
ラクナ梗塞
脳の血管の中でも特に細い血管が詰まることで発症します。
細い血管のため、症状は比較的軽いことが多く、中には梗塞が起こっていること自体気が付かないというケースもあります。
アテローム血栓性脳梗塞
高脂血症によってコレステロールの値が高い状態が続くと、血管の内部にコレステロールが溜まり、「アテローム」という状態になります。
このアテロームがこびりついている部分に血の塊がはまってしまうことで発症するのが「アテローム血栓性脳梗塞」です。
アテローム血栓性脳梗塞は特に太い血管で起こることが多いのですが、血管の内部がもともと狭く血液の流れも悪くなっているため、代わりに他の血管が太くなり悪くなった分を補おうとします。
そのため、梗塞を発症しても、太い血管の割には軽度ですむケースもみられます。
心原性塞栓症
心臓の働きの低下によって血液の流れが悪くなり、本来できないはずの血の塊ができ、脳の血管にすっぽりとはまってしまうことで、塞栓症を起こします。
この場合、血の塊がある時突然太い血管そのものを塞いでしまうため、他の二つに比べて脳の広範囲にわたって障害が起こりやすく、重症度も高くなります。
脳梗塞の統計
平成26年(2014年)時点、脳出血や脳梗塞といった「脳血管疾患」による患者数は117万6000人で、平成23年(2011年)の調査に比べて約3万人の減少となりました。
脳血管疾患による死亡数は平成25年(2013年)の調査で11万4207人で、全体の9.0%となり、死亡原因の第4位となっています。性別でみてみると、男性は5万4995人、女性は5万9212人となっています。
脳梗塞の症状
脳は、人間の体の中で司令塔の役割を果たしています。そのため、梗塞を起こした部位によって出現する症状も様々となります。
代表的な症状としては、麻痺・意識障害・運動障害・言語障害などがあります。
脳血栓の場合は症状がゆっくりと進行したり、一時的に症状が起こりその後自然と軽快する「一過性脳虚血発作(TIA)」が見られます。
一方、脳塞栓の場合は突然意識障害や重度の麻痺が出現します。
脳梗塞の診断
脳梗塞が疑われる場合、CTやMRIを撮影し、脳のどの部分が梗塞を起こしているかを確認します。
脳梗塞の中でも「心原性脳塞栓」を疑う場合には、脳梗塞の検査を行うとともに、心臓の機能を調べるために、24時間記録できるモニターを装着し細かい心電図を調べる「モニター心電図」や「心エコー検査」を行います。
脳梗塞の治療法
脳梗塞の治療では、「いかに早く治療を開始するか」が重要なポイントとなります。発症から3時間以内の場合は、梗塞を起こした血栓そのものを溶かす「血栓溶解療法」を検討します。この治療は適応基準があり、すべての基準を満たしている場合のみ行われます。
他にも血栓を新たに作らないための「抗血栓療法」、脳そのものを保護して後遺症軽減を期待する「脳保護療法」、そして脳のむくみを軽減する「抗脳浮腫療法」などを、症状や重傷度に応じて行います。
また、脳梗塞によって起こった障害を軽減させるために、リハビリテーションをなるべく早期から行います。