閉塞性動脈硬化症の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 21時50分
閉塞性動脈硬化症の症状:間欠性跛行(かんけつせいはこう)
閉塞性動脈硬化症の初期症状として、「間欠性跛行」があげられます。
安静にしているときや歩き始めは痛みを感じませんが、歩き続けているうちに痛みや疲労感を感じやすくなり、足を引きずるような歩き方をします。
痛みが強くなり一度休憩を入れると、数分間休むだけで痛みや疲労感は軽減し、再び歩きはじめることができます。そして歩き始めると、再びまた痛みや疲労感を感じるということを繰り返します。これが「間欠性跛行」と呼ばれる症状です。
間欠性跛行は、閉塞性動脈硬化症以外にも脊髄の病気で起こることがあります。閉塞性動脈硬化症に代表される下肢の血管が原因の場合、歩行を中止し休むだけで痛みは軽減しますが、脊髄の病気の場合は姿勢を前かがみにすることで軽減するという違いがあります。
また、血管が原因の場合は足の甲で触れるはずの動脈を感知することができませんが、脊髄の病気の場合は感知することができます。
このように、同じ間欠性跛行でもいくつか違いがあるため、原因追及の際の判断材料となります。
閉塞性動脈硬化症の進行
閉塞性動脈硬化症は通常、段階的に進行します。
間欠性跛行では安静時は痛みを感じることがありませんが、進行すると常に痛みを感じるようになり、常に足先が冷たく感じる「冷感」が起こります。
安静時にも痛みを感じたり、常に冷感がある時点で病院に行くことができればまだよいのですが、さらにこの状態を放置してしまうと、足先に十分な血液がいかないことで、潰瘍(かいよう:皮膚組織の下まで深い傷ができてしまっている状態)や壊死(えし:一部分の生命活動ができなくなっている状態)になってから初めて症状に気づくこともあります。
壊死まで症状が進行すると、壊死した部分から血液内に細菌が入り込み、全身が感染してしまう「敗血症」という重篤な病気を引き起こす危険があるため、壊死した部分を切断しなくてはいけないケースもあります。
閉塞性動脈硬化症を進行させやすいケース
閉塞性動脈硬化症を発症している方の多くは、基礎疾患として糖尿病や高血圧を持つ方が多く、中には、脳梗塞や心筋梗塞の既往などがある方もいらっしゃいます。
これらの既往がある方の中で特に注意しなくてはいけないのが、「糖尿病」の方と「脳梗塞にて麻痺やしびれがある」方です。
間欠性跛行も、進行による安静時の痛みも、すべて「痛みを感じること」が重要となります。
しかし、糖尿病の方の中には神経の働きが鈍くなっているため、通常ならば痛みを感じるはずが、痛みを感じることができない場合があります。
脳梗塞にて麻痺やしびれがある場合は、その度合いはさらに高まります。
そのため、糖尿病や脳梗塞の既往がある場合には、痛み以外の項目である「冷感」などの症状によって、閉塞性動脈硬化症を早期に発見する必要があります。
また、心臓の病気によって運動が制限されている方も、歩行できない状態のために歩行時の痛みを感じることができず、ある程度進行してから初めて症状に気づくといったこともあるので、注意が必要です。