閉塞性動脈硬化症の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年2月 1日 21時50分
閉塞性動脈硬化症を疑う場合
閉塞性動脈硬化症は、どのようなときに疑われるのでしょうか?
初期症状として特徴的なのが「間欠性跛行」と呼ばれるものです。(リンク1参照)
間欠性跛行とは、歩き出してしばらくすると徐々に痛みがでてきて、足を引きずるようになりますが、数分の休憩のみで痛みは軽減し、また歩けるようになるという症状です。
間欠性跛行以外にも、
- 冷感やしびれ感がある
- 高血圧、糖尿病、高脂血症の持病がある
- 喫煙歴がある
これらに当てはまる場合、閉塞性動脈硬化症を疑います。
閉塞性動脈硬化症の診断
閉塞性動脈硬化症の診断には、以下のような検査を実施します。
下肢動脈の拍動感知
通常、動脈はとても強い拍動によって全身に血液を送り出しているため、皮膚の上から触れてもしっかりと拍動を感知することができます。テレビなどで看護師が手首を触れて脈をとっていますが、これは手首に「橈骨動脈」という動脈があり、触れることで拍動を感知しています。
閉塞性動脈硬化症を疑う場合、まずは下肢の動脈を触れて、しっかりと感知できるかどうかを調べます。
脈の触診には、膝の裏にある「膝窩動脈(しっかどうみゃく)」や足の背の部分にある「足背動脈(そくはいどうみゃく)」を主に調べます。
ドプラ血流計
ドプラ血流計は、主に血管内の血流を測定するものです。通常ならば「足背動脈」と呼ばれる、足の背の部分にある動脈は軽く触れるだけで脈をとることができるのですが、閉塞性動脈硬化症や動脈硬化が進行していると、足背動脈を触れることで感知することは難しくなります。
ドプラ血流計は、血管の上にブロープと呼ばれる器具を触れさせることで血管内の血流音を感知することができます。
ドプラ血流計にて血流音の感知ができなかったり、もしくは微弱である場合、動脈硬化や閉塞性動脈硬化症がある可能性があり、血管のおよその閉塞部位や程度を確認することができます。
ABIの測定
ABIとは「足関節上腕血圧比」のことを指します。これは、腕と足首で血圧を同時に測定して出た血圧の比率を計算します。通常ならば足首で計測した血圧がやや高くでるのですが、閉塞性動脈硬化が進行していると腕のほうがやや高くなります。
ABIの比率が0.9未満の場合、閉塞性動脈硬化症を強く疑います。
血管造影
上にあげた検査によって閉塞性動脈硬化症を強く疑う場合、確定診断を行うために行われる検査が「血管造影」です。血管造影は薬品を注射し、撮影を行うことでどの部分が閉塞または狭窄しているかを知らべることができます。
血管造影によって、血管が虫食いのようにところどころが狭窄していたり、広範囲にわたって通常みられるはずの血管がみられない場合、その部分が閉塞しているということがわかります。
近年では、より立体的に血管を撮影することができる「MDCT」という撮影方法もあります。