健康長寿ネット

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高齢者の就業支援

公開日:2019年7月30日 09時30分
更新日:2022年4月15日 13時50分

高齢者の就業

写真1:スマートフォンで電話する高齢男性

 かつての日本は、「定年」といえば一般的には60歳でした。平成25年(2013年)4月の高齢者雇用安定法(正式名:高齢者等の雇用の安定等に関する法律)の改正法施行により、事実上の定年は65歳まで引き上げられました。

 定年の大きな引き上げの理由の一つは日本の少子高齢化に伴う人口減少社会の中で持続的な経済成長を実現するとともに、人手不足解消による労働力の確保のためです。定年を65歳に引上げた後、近年においては65歳や70歳の高齢者でも元気に仕事をしている人が増えています。

高齢者でも就業意欲があるのか

 内閣府が公表している「平成30年(2018年)版 高齢社会白書」によると、60歳以上の男女(仕事をしている人)に何歳くらいまで収入を伴う仕事をしたいかと尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも」と答えた人が全体の42%に上ることが分かりました。

 その他、65歳くらいまでが13%、70歳くらいまでが22%、75歳くらいまでが11%という結果になっています。つまり、調査が行われた時点で就労していた人のうちおよそ80%が、70歳以上または働けるうちはいつまでも働きたいと考えていることになります(図1)1)

図1:60歳以上の男女を対象とした就労希望年齢の調査結果を表す。70歳以上または働けるうちはいつでも働きたいと考える人はおよそ80%であることがわかる。
図1:就労希望年齢1)

 かつての日本は「60歳で定年」が一般的でしたが、平成25年(2013年)に「高年齢者雇用安定法」が改正され、65歳まで、もしくは雇用者と被雇用者が合意すれば65歳以降でも引き続いて就労できることになりました2)

 「平成30年版 高齢社会白書」に掲載されているデータは、内閣府が2014年に行った「高齢者の日常生活に関する意識調査」からのデータですので、定年が延びたならばもう少し働きたい、という高齢者の意思が表れているのかもしれません。

国が行う高齢者への就業支援3)

 「いつまでも働きたい」という意欲と能力を持つ高齢者は、どのようにして年齢にかかわりなく働くことができる就労先を見つければ良いのでしょうか。国も高齢者の雇用問題に対し、いくつかの施策を立てています。

高年齢者が年齢にかかわりなく働くことができる企業の拡大

 1つは、それまで雇用されていた企業等と「嘱託勤務」などの契約を結べるようにすることです。

 具体的には、定年年齢を65歳以上に引き上げた企業に対し、「65歳超雇用推進助成金」を支給しています。

 また、「高齢・障害・求職者雇用支援機構による事業主に対する相談、援助」も行っており、企業の仕組みを変えなくてはならない事業主に対し、相談や援助を行っています。

高年齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大

 2つ目は、地域のニーズに応じた高齢者雇用の仕組み支援するというものです。

 例えば、現在はさまざまな地域に「シルバー人材センター」があります。シルバー人材センターでは、地域住民のニーズに応じた業務を、登録している高齢者が遂行できるようとりまとめます。国はこうした組織を支援しています。

 また、平成28年(2016年)からは「生涯現役促進地域連携事業」をスタートさせ、地域における高齢者の雇用促進を図っています。

高年齢者の再就職支援の充実・強化

 3つ目は、高齢者の再就職を支援する施策です。

 一度は退職しても再雇用を希望する高齢者を対象に、全国の主要なハローワークを活用し、再就職支援を図っています。

 また、「高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業の実施を平成28年(2016年)から行っており、高年齢退職予定者のキャリアに応じた再就職を支援します。

 さらに、「特定求職者雇用開発助成金等の各種助成金の支給」も行っており、ハローワーク経由で高齢者を雇用した場合、その事業主に対する助成を行います。

高年齢者雇用確保措置における企業や事業主の実施義務

 平成25年(2013年)に高年齢者雇用安定法が改正されたのは前述の通りですが、この法改正に基づき、高齢者の雇用を推進し、高年齢者雇用確保措置の確実な実施を行うとしています。

 具体的には

  • ハローワーク等を活用し、高齢者の雇用を未だ行っていない企業や事業主に対し、高齢者再雇用を含めた啓発指導を行います。
  • 高齢・障害・求職者雇用支援機構により、事業主に対する相談対応、援助を行います。

 高齢・障害・求職者雇用支援機構とは、平成3年(1991年)に設立された団体です。高齢・障害・求職者雇用支援機構は高齢者の雇用確保、障害者の職業的自立の推進、労働者の職業能力の開発及び向上のために、高齢者、障害者、求職者、事業主等の方々に対して総合的な支援を行っています(リンク1)。

リンク1  独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

働きたいと思ったら

 厚生労働省は、「生涯現役支援窓口」を、全国の主要なハローワークに設置し、65歳以上の高齢者の再就職を重点的に支援しています4)。平成31年(2019年)3月時点、全国180カ所のハローワークに生涯現役支援窓口が設置されていますが、2020年までに300カ所まで拡大する方針です。生涯現役支援窓口については最寄りのハローワークにお問い合わせください。

生涯現役支援窓口の主な特長5)

特徴1 シニア世代の方の採用に意欲的な企業の求人情報を提供します。

 経験豊富なシニア世代の採用に意欲的な企業に対し、ご本人のニーズに応じた求人開拓を行います。

特徴2 多様な就業ニーズなどに応じた情報を提供します。

 ご本人の就業ニーズなどに応じて、シルバー人材センターをはじめとする関係機関の相談窓口について情報を提供します。

特徴3 シニア世代の方に適した、各種ガイダンスを実施します。

 履歴書、職務経歴書の書き方や面接の受け方、求職活動の方法などに関して、シニア世代の方に適したガイダンスを実施します。また、技能習得のための各種講習(無料)について情報を提供します。

参考文献

  1. 平成30年版高齢社会白書(概要版) 1 就業・所得(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 厚生労働省 高年齢者雇用対策の概要(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 今後の高齢者雇用対策(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 厚生労働省 「生涯現役支援窓口」のご案内(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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