健康長寿に効果的なウォーキング
公開日:2016年7月25日 05時00分
更新日:2019年10月 7日 11時25分
ウォーキングとは
健康推進のためや、生活習慣病の予防のための運動として、歩き方や運動強度、頻度や時間を考慮して「歩く」活動を行うことです。ウォーキングは、障害が生じる危険度も少なく、老若男女問わずに行える運動です。これから運動を開始するという方でも、抵抗感なく継続して取り組みやすい運動のひとつです1)。
ウォーキングの効果
ウォーキングは酸素を身体に取り入れながら行う有酸素運動であり、長く続ければ続けるほど、脂肪をエネルギーとして燃焼しやすくなります。脂肪が減少することにより肥満も解消され、代謝がよくなることで血中脂質や血糖値、血圧の状態の改善にも有効です。心肺機能の維持・改善の効果もあります1)。
歩くことで荷重がかかり、骨に刺激が加わるので、骨の強さが増しやすく、骨粗しょう症予防にもよいといわれています2)。
また、ウォーキングには快感ホルモンの分泌を促し、精神的な緊張や抑うつ、敵意、疲労、混乱などのマイナスの感情は低下し、プラスの感情である活力が上昇するという感情への効果も報告されています。脳の血行もよくなり、脳の活性化が促されることで認知症のリスクを低減させるという報告もあります3)。
健康寿命が延びるウォーキング方法とは4)
身体活動の運動強度は低強度・中強度・高強度の3段階に分けられます。健康寿命を延ばすためには、中強度が最適な運動強度とされています。
歩行でいうと、低強度は、家の中の移動や意識せずにだらだらとした歩行、洗濯や料理、掃除などの家事、中強度は、大股で地面を力強く蹴る歩行、うっすらと汗ばむ程度の速歩き、会話が何とかできる程度の息が弾む歩行、山歩きや畑仕事などです。高強度はきついと感じる運動や激しいトレーニングを指します。
普段の買い物や通勤、犬の散歩などで行っている歩行を以下のことを意識して行うことがおすすめです。
健康寿命が延びるウォーキング
- 大股で地面を力強く蹴って歩く
- うっすらと汗ばむ程度に早歩きをする
- 息が弾むぐらいのペースで歩く
ウォーキングは1日何歩が適正か?
健康寿命を延ばすこと、社会生活に必要な機能向上を図ること、生活習慣病予防を徹底することなど、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的方針を示した健康日本21では、平成25年度から平成34年度までの歩数の目標値として20~64歳までは男性9,000歩、女性8,500歩、65歳以上では男性7,000歩、女性6,000歩が掲げられています(表1)。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~64歳 | 9,000歩 | 8,500歩 |
65歳以上 | 7,000歩 | 6,000歩 |
最近の研究では、1日当たりの歩数と中強度の歩行時間で予防できる可能性のある病気や病態の関係が報告されており、高血圧症や糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防するのに有効である歩行は「1日8,000歩、そのうち中強度の歩行が20分」が適切な身体活動量とされています。やみくもにただ歩数を多くすることが健康によいのではなく、中強度で行う身体活動の割合が日常生活で多い方が健康によいといわれています(表2)。
歩数 | 速歩き時間 | 予防(改善)できる可能性のある病気・病態 |
---|---|---|
2,000歩 | 0分 | ねたきり |
4,000歩 | 5分 | うつ病 |
5,000歩 | 7.5分 | 要支援・要介護 認知症(血管性認知症、アルツハイマー病) 心疾患(狭心症、心筋梗塞) 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血) |
7,000歩 | 15分 | がん(結腸がん、直腸がん、肺がん、乳がん、子宮内膜がん) 動脈硬化 骨粗鬆症 骨折 |
7,500歩 | 17.5分 | サルコペニア(筋減少症) 体力の低下(特に75歳以上の下肢筋力や歩行速度) |
8,000歩 | 20分 | 高血圧 糖尿病 脂質異常症 メタボリックシンドローム(75歳以上の場合) |
9,000歩 | 25分 | 高血圧(正常高値血圧) 高血糖 |
10,000歩 | 30分 | メタボリックシンドローム(75歳未満の場合) |
12,000歩 | 40分 | 肥満 |
ウォーキングを行う上で気を付けること
普段運動習慣のない人や、体力や歩行に自信がない方が、いきなり高いレベルの歩数や運動強度を目指すと健康を損なうおそれがあります。まずは今よりも身体を動かす時間を増やすこと、歩行時には中強度の歩行を意識すること、毎日の習慣として無理なくウォーキングを続けることが大切です。
場合によっては現状維持が目標となることもあります。体調や天候が優れないときは無理をせずに休み、その分調子のよい時に少し多く歩くなどして、平均的な目標として捉えましょう。ウォーキング後の疲労感をみて、疲労が残る場合はやや目標を下げ、2か月間疲労を残さず継続できれば目標を上げるなど、目標の調整を行いましょう。