運転支援技術・自動運転技術の進化
公開日:2019年8月 9日 09時00分
更新日:2022年4月 1日 10時40分
高齢者の事故防止対策として運転者を支援する先進安全技術が開発され、一般車へと搭載されています。自動運転技術も完全自動運転を目指して進化しています。
運転支援技術の実用化の例
これまでに実用化されている運転支援技術の例をみていきましょう。
衝突被害軽減ブレーキ(AEB装置)
衝突被害軽減ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)とは、車に取り付けられているレーダーやカメラからの情報によって前方を走行している車や障害物との衝突を予測し、運転者への危険の警告とブレーキを作動する装置です1)2)。
- レーダーやカメラが常に車の前方の状況を確認しています。
- 運転者が前方の障害物に気付かずに、衝突する危険性があると判断された場合には、警報音やディスプレイで運転者に衝突の危険性を知らせ、弱いブレーキが作動します。
- 衝突の危険性が高く、運転者が警告に気付かずにブレーキ操作を行わなかった場合には、さらに強いブレーキが作動します。
搭載されているシステムや走行スピード、暗さや逆光、雨などの周囲の状況や雨や雪で滑りやすい道路、下り坂などの路面の状況によってはシステムが作動せず、障害物を回避できない場合があります。衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません3)(動画)。
動画:国土交通省 衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません!国土交通省自動車局審査・リコール課(YouTube)
レーンキープアシスト(LKAS:車線逸脱警報装置)
運転中は、路面の凹凸や横風などの状況やカーブしている道路、周囲の標識や走行車への注意を配りながら車線の中央を走行するようにハンドル操作を行わなければなりません。レーンキープアシスト(LKAS:Lane Keep Assist System)は、車線をはみ出しそうになった時に音とディスプレイでの警告で、車線の中央付近の走行を維持するように支援するシステムです。道路の白線のかすれや悪天候の場合にはシステムが正常に作動しない場合もあります1)4)。
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:車間距離制御装置)
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)は、先行車がない場合は設定した一定の速度で走行し、先行車がある場合には車間距離を一定に保って走行する機能のある装置です。先行車との車間距離に合わせて加速、ブレーキ操作が自動で行われますが、合流地点や急カーブ、悪天候時は運転者の操作が必要です1)4)。
横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)
横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)は、滑りやすい路面状態のカーブ走行時や側方からの突然の飛び出しが発生した際に、急激なハンドル操作やアクセル操作に伴って起こる車両の横滑りを制御する装置です1)。
ふらつき警報
ふらつき警報は、運転者の眠気などによる車両の蛇行を検知すると警報音とディスプレイ表示で警告し、運転者の休憩を促す機能です1)。
駐車支援システム(パーキングアシスト)
駐車支援システム(パーキングアシスト)は、車庫入れや縦列駐車時にナビゲーション画面で駐車スペースを決めて設定すると、後退駐車時に自動でハンドル制御をして駐車支援をする機能です。車によっては後退開始位置までの前進も自動で行うものもあります。あくまでも補助的な機能であり、周囲の安全確認と車両や人の飛び出し時の対応は運転者が行う必要があります1)5)。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置
ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、駐車場への入出庫の際など、ブレーキ操作を行わなければならない状況で誤ってアクセルを踏み込んでしまった場合に、警告音で運転者にブレーキ操作を促し、急発進の加速を抑える機能です1)4)。
自動切替型前照灯(先進ライト)
自動切替型前照灯(先進ライト)は、周囲の明るさを認識してロービームとハイビームを自動的に切り替えて、障害物や前走車や対向車、歩行者などの存在に気付きやすくします1)4)。
運転支援技術の普及の状況
平成28年(2016年)の運転支援技術の新車装着率(1年間に生産される自動車のうち、対象装置が装着された車両台数の割合)は以下の通りです1)。
- 衝突被害軽減ブレーキ:66.2%
- ペダル踏み間違い時加速抑制装置:47.1%
- アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC):38.7%
- レーンキープアシスト:13.7%
安全運転サポート車の普及目標
政府は、高齢運転者による事故防止対策の一環として、衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、レーンキープアシスト、自動切替型前照灯を搭載した特に高齢運転者に推奨する「安全運転サポート車(サポカーS)」の普及に取り組んでいます。
衝突被害軽減ブレーキを搭載した、全ての運転者に推奨する自動車(サポカーS)は2020年までに新車乗用車搭載率を9割以上とする目標が掲げられています1)。
自動運転技術の進化と今後
衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、レーンキープアシストによる自動ブレーキや車間距離の維持、車線の維持のサポートは現在、実用化されていますが、今後2020年を目途に、高速道路での自動追い越しや自動合流・分流が行えるハンドルの自動操作機能を一般車へ搭載することと、限定地域における無人運転移動サービスの実施が目指されています。
いずれは、システムによる完全自動運転が構想されており、2025年を目途として、高速道路での完全自動運転の実現が目標とされています1)。