地域包括ケアシステムとは
公開日:2019年2月13日 10時00分
更新日:2019年2月13日 11時08分
住み慣れた地域で助け合う地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるように地域内で助け合う体制のことです。地域包括ケアシステムは、それぞれの地域の実情に合った医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制を目指しています。介護保険制度の枠内でだけ完結するものではなく、介護保険制度と医療保険制度の両分野から、高齢者を地域で支えていくものとなります。
地域包括ケアシステムは、戦後のベビーブーム時代に生まれた、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人たちが、75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、介護保険の保険者である市町村や都道府県などが中心となり、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて構築していくことが目標です。地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されています1)。
地域包括ケアシステムの背景1)
日本は、諸外国に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。総務省統計局の推計によると、65歳以上の人口は2018年8月に3,530万人(約4人に1人)を超えており、2040年の約3,920万人を迎え、その後も75歳以上の人口の割合は増加し続けることが予想されています2)。少子高齢化が加速する中、団塊世代が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が増えることが想定されています。こういった背景から、国は、医療と介護を病院や施設等で行うものから在宅で行うもの、つまり住み慣れた地域の中で最後まで自分らしい生活ができるようにと、地域の包括的な支援・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
地域包括ケアシステムの姿とは
地域包括ケアシステムは前述したように、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」を一体的に提供します(図1参照)。
住まい
地域包括ケアシステムの「住まい」とは自宅やサービス付き高齢者向け住宅等を指し、ここで生活を送ります。
医療
医療は、急性期病院、亜急性期・回復期リハビリ病院の他、かかりつけ医や地域の連携病院を指します。病気になった際の入院などを急性期病院等が担い、日常の医療をかかりつけ医や地域の連携病院が担うという想定になります。
介護
介護は、在宅系サービスと施設・居住系サービスに分類されます。
在宅系サービスでは訪問介護、訪問看護、通所介護、小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護、24時間対応の訪問サービス、複合型サービス(小規模多機能型居宅介護+訪問看護)等を指し、施設・居住系サービスは介護老人福祉施設、介護老人保健施設、認知症共同生活介護、特定施設入所者生活介護等を指します。介護が必要となった時に、自宅からの通所あるいは施設へ入所して介護を受けられるような体制を整えます。
介護予防・生活支援
介護予防・生活支援では、老人会、自治体、ボランティア、NPO法人等が主体となり、カフェやサロンの開催、配食+見守り、安否確認、食材配達等を行います(図2)。いつまでも元気に暮らすための仕組みを作っていくものです。また、介護予防サービスを積極的に活用し、要支援1あるいは要支援2の人も自宅で暮らしていけるような体裁を整えています。