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肺がん末期

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 19時57分

肺がん末期の症状

 肺がんは、初期の段階では目立った自覚症状は表れませんが、がんが進行するにつれて重篤な症状を引き起こすのが特徴です。

 肺がんの組織が次第に大きくなり、気管支を圧迫するようになると、空気を肺に送ることができなくなります。空気が取り込めないことで肺はつぶれた状態になり、呼吸困難をはじめ、咳や痰、胸の痛みなどの症状が見られるようになります。

 また、肺がんが胸膜に転移して「胸膜炎」を起こした場合には、肺やその周囲に水が溜まって肺が押しつぶされ、呼吸困難や咳、胸や背中の痛みなどの症状が出現します。

 肺がん末期には、転移を起こしたがんがそれぞれの臓器で進行するため、その臓器に特有の症状も見られるようになります。例えば、がんが骨に転移した場合、転移した部分に激痛が生じたり、骨がもろくなって骨折しやすくなったりします。

 肺がんの末期には、他のがんと同様に、体重の著しい低下や倦怠感などの全身症状、耐え難いほどの痛みなどがおこることがあります。

 また、がんによって呼吸機能をつかさどる「肺」が障害されるため、突然の呼吸不全や全身状態の悪化に陥ることもあります。最悪の場合はそのまま命を落としてしまうケースもあるため、注意が必要です。

肺がん末期における診断

 肺がんの進行の程度や周囲の臓器へのがん転移の有無を確認するためには、胸部X線写真、CT、MRIなどを用いて画像診断が行われます。また、骨へのがん転移を調べる場合には、骨シンチによる判定が有用とされています。

 血液中に含まれる腫瘍マーカーの値も治療の効果判定やがんの進行度の判定に重要な意味を持ちます。炎症反応の程度を示すCRP(C反応性タンパク)や、栄養状態の指標となるアルブミン、貧血の有無や程度を示すヘモグロビン濃度などは全身状態の確認のために役立ちます。

肺がん末期の治療

 肺がんが末期の状態にまで進行すると手術などの外科的な方法でがんを取り除くことは不可能となります。肺がんの治療には抗がん剤などを用いた化学療法が行なわれることもありますが、化学療法は副作用も強いため、がん末期においては、かえって体力を奪ってしまうというリスクもあります。そのため、肺がんの末期には、がんそのものに対する治療は積極的に行なわれないケースがほとんどです。

 しかし、肺がんの末期に引き起こされる呼吸不全や激しい疼痛、転移したがんが各臓器でもたらす機能不全などの辛い症状に対しては、鎮痛薬の使用や症状に応じた対処的な治療で対応し、苦痛を取り除くための治療が積極的に行われるようになります。

肺がん末期の予後・ケア

 肺がんは全てのがんの中で最も死亡者数が多く、治療も困難ながんです。他の臓器への転移が見られるステージⅣまで肺がんが進行している場合、5年生存率は5%以下程度であるとされ、その予後は不良です。

 こうした厳しい状況から、肺がん末期においては、残された人生を穏やかに自分らしく過ごせるように「緩和ケア」を中心とした支援が行われます。緩和ケアは療養生活におけるQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持・向上を大きな目標としており、身体的・肉体的苦痛を取り除くための様々な支援を専門家から受けることができます。

 緩和ケアは入院中だけでなく、在宅療養の方も自宅で受けることが可能です。ご本人の希望やご家庭の状況などに応じて、いつでも緩和ケアを取り入れることができるのです。緩和ケアによって不安や苦痛を取り除くことで、安らかな療養生活を送ることができるようになるでしょう。

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