健康長寿ネット

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「自然に健康になれる環境づくり」による新たな健康づくり

公開日:2024年7月19日 09時00分
更新日:2024年7月19日 09時00分

近藤 克則(こんどう かつのり)

千葉大学予防医学センター 健康まちづくり共同研究部門特任教授
一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構研究部長


 「健康で長生きするための心得」を、貝原益軒が『養生訓』(1712年頃)にまとめたのは江戸時代である1)。そこには「食事は食べ過ぎず、毎日、自分に合った適度な運動をするのがよい」ことなどが書かれているという。生活習慣が大事なことは、300年以上も前からわかっていたのだ。

 しかし、健康づくりも、科学的な知見を踏まえて、着実に進歩している。健康増進法に基づく国民健康づくりのための基本的方針「健康日本21」は、2000年に第一次が示され、その後に蓄積された科学的な知見などを踏まえて、約10年に1度、かなりの見直しがされてきた。第二次(2013年~)の基本的方向には、第一次の「健康寿命の延伸」に「健康格差の縮小」が加えられ、概念図や数値目標には、「生活習慣の改善」と並列する形で「社会環境の改善」が新たに加えられた。そして、今年(2024年)度始まった第三次で、初めて概念図に加わった言葉が「自然に健康になれる環境づくり」である。

 そこで、4つの論文からなる本特集「自然に健康になれる環境づくり」を企画した。拙論では、このような考え方がなぜ着目されるようになったのか4つの視点から考える。続く2つの論文では、「健康日本21(第三次)」で「自然に健康になれる環境づくり」に関わる数値目標として新たに加わった「『健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ』の推進」「『居心地が良く歩きたくなる』まちなかづくりに取り組む市町村数の増加」について紹介していただく。食環境づくりについては村山伸子先生に、自然に歩数が増える環境づくりについて井上茂先生にご執筆いただいた。最後に、「健康日本21(第三次)」にはまだ反映されていないが、インターネットやスマートフォンなどデジタル環境も、健康づくりに大きな影響を及ぼすことがわかってきている。そこで、それらについて中込敦士先生にご紹介いただくことにした。

 本特集によって、「自然に健康になれる環境づくり」による新たな健康づくりについて、多くの方に知っていただけることを願っている。

文献

  1. 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット:養生訓(新しいウインドウが開きます)(2024年6月20日閲覧)

筆者

こんどうかつのり氏の写真。
近藤 克則(こんどう かつのり)
千葉大学予防医学センター 健康まちづくり共同研究部門特任教授
一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構研究部長
略歴
1983年:千葉大学医学部卒業、船橋二和病院研修医、1985年:東京大学医学部附属病院リハビリテーション科医員、1989年:船橋二和病院リハビリテーション科医師、1997年:日本福祉大学社会福祉学部助教授、2000年:University of Kent at Canterbury,research fellow、2003年:日本福祉大学教授、2014年:千葉大学予防医学センター教授、2016年:国立長寿医療研究センター部長(併任)、2018年より一般社団法人日本老年学的評価研究機構(JAGES)代表理事(併任)、2024年より千葉大学予防医学センター特任教授(名誉教授、グランドフェロー)、一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構研究部長(併任)
専門分野
社会疫学、医療と介護の政策科学、医療・福祉マネジメント
過去の掲載記事
対談/地域との関わりが高齢者の健康保持につながる(Aging&Health 第23巻第2号)(新しいウインドウが開きます)
特集/健康格差の実態と対策―JAGESにおける概要(Aging&Health 第27巻第2号)(新しいウインドウが開きます)
特集/産官学連携でつくる「長生きを喜べる長寿社会」(Aging&Health 第31巻第2号)(新しいウインドウが開きます)

公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health 2024年 第33巻第2号(PDF:3.7MB)(新しいウィンドウが開きます)

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