高血圧の原因
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年2月 1日 21時30分
高血圧の種類
高血圧には大きくわけて二つの種類があります。
本態性高血圧
直接的な原因はなく、遺伝的因子や生活習慣が相互に作用して起こる高血圧のことを、本態性高血圧といいます。高血圧の方のうち、約90%がこの本態性高血圧です。
主に35~60歳で発症し、徐々に進行します。降圧剤に対する反応は良好なため、生活習慣の改善とともに降圧剤による血圧コントロールが行われます。
二次性高血圧
直接血圧が上がるような疾患や原因がある場合の高血圧が、二次性高血圧です。本態性高血圧と違い、35歳以下の若年もしくは60歳以上の高齢者にて発症することが多く、高血圧の度合いは急速に進行します。
降圧剤による反応は弱く、二次性高血圧を引き起こしている疾患や原因が軽快することで、高血圧自体も寛解します。
悪性高血圧
高血圧の原因の中で、特に注意しなくてはいけないのが、全体の1%以下の方が起こす、悪性高血圧です。他の高血圧と違い、発症は30~40歳代と比較的若い年代の男性に多く、予後が極めて不良な高血圧となります。
悪性高血圧を発症すると、以下のような特徴的な症状が見られます。
- 拡張期血圧が常に130mmHg以上
- 眼の奥に特徴的な所見(乳頭浮腫)が見られる
- 腎臓の機能が急激に低下する
- 体重減少や心不全など、急速に悪化する全身症状が見られる
これらの症状のうち、特に腎機能の低下が予後を推測する上で重要となります。
高血圧と生活習慣
高血圧は、一つが原因で起こることは少なく、さまざまな因子が重なり合っていることが多くあります。そのうち、生活習慣による血圧上昇に対し、以下のような生活習慣の改善が奨励されています。
- 食塩の摂取を控える(目標一日6g以下)
- コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
- 野菜、果物を積極的に摂取する
- 肥満を改善し、BMI25以下を目標とする
- 心血管疾患がない場合、1日30分ほどの有酸素運動
- エタノール換算で一日あたり、男性は20~30ml以下、女性は10~20ml以下の節酒をする
- 禁煙をする
日本における高血圧者の特徴
かつて、日本は肥満者の割合が低い一方で、食塩摂取量は過剰と言われていました。1950年代の東北地方において、一日あたり25gの塩分を摂取していたというデータも残っているほどです。
現代において、塩分の摂取量は一日あたり11~12gまでと低下しましたが、肥満者の割合は食事の欧米化や運動不足によって増加傾向にあります。
そのため、塩分の指導とともに肥満についての指導も近年積極的に行われています。
白衣高血圧と仮面高血圧
高血圧は、さまざまな要因によって引き起こされますが、高血圧と診断する上で注意しなくてはいけないのが、「白衣高血圧」と「仮面高血圧」です。
白衣高血圧
白衣高血圧とは、本来は正常値であるにも関わらず、医療機関で計測すると高血圧の値になってしまうものです。
この場合、「高血圧と言われたらどうしよう」という不安や緊張から一時的な血圧上昇を起こしていることが多いため、医療機関以外での測定結果も加味する必要があります。
仮面高血圧
仮面高血圧は、医療機関での測定結果は良好なものの、それ以外の場所では高血圧となってしまっている状態をいいます。
白衣高血圧は不安や緊張から起こることが多いですが、仮面高血圧では降圧剤による治療中に起こることが多くなります。
仮面高血圧の場合は、医師も患者自身も「血圧のコントロールは良好」と思ってしまうため、不適切に高血圧が放置されてしまい、高血圧によるさまざまな症状が出現するリスクが極めて高くなります。