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老人性乾皮症

公開日:2017年7月 5日 11時28分
更新日:2019年8月 6日 12時50分

老人性乾皮症とは

 老人性乾皮症とは、加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減少し、皮膚の角層の水分保持機能が低下することにより、皮膚が乾燥した状態のことです。皮膚に浅い亀裂や白いふけのような鱗屑が生じ、掻痒(そうよう:かゆみ)を伴います。

 掻痒、つまり「かゆみ」は高齢者にとって非常に頻度が高く、つらい訴えです。 かゆみは皮膚の表面に分布している神経が脳に伝わっておこるとされています。少し前まではかゆみと痛みは同じようなものと考えられていましたが、最近かゆみを伝える神経は痛みを伝える神経とは異なっていることがわかりました。

 かゆみは発疹があるものと、発疹がないのにかゆみがあるものに大きくわけられます。ここでは高齢者のかゆみの原因として頻度が高い老人性乾皮症について述べます。

皮脂の欠乏:老人性乾皮症

 皮膚の表面は皮膚の細胞が変化したあかの層(角質)がおおっています。

 地表で暮らす人間は、環境に適応するために皮膚はその表面に皮脂とよばれる脂質(あぶら)の膜をつくって水の蒸発を防ぎ、体を保護しているのです。

 しかしながら加齢によってその機能が次第に低下するために、体のある部分で皮脂が少なくなってしまうことがあります。その状態は老人性乾皮症と呼ばれ、皮膚の本来の機能を失わせて本来の防御機能が低下してしまいます。

 そのため外的な刺激によって湿疹になりやすく、皮脂欠乏性湿疹と呼ばれます(写真)。このような症状が起こる部位は下腿や背部がほとんどです。老人性乾皮症は空気が乾燥する冬に多くおこります。

写真:皮膚欠乏性湿疹を示す写真。
写真:皮脂欠乏性湿疹

老人性乾皮症の治療と生活上の注意点

老人性乾皮症の治療

 老人性乾皮症の治療の原則は保湿剤を用いることです。

 薬局でも様々な保湿剤が市販されています。基本的には使用感がよく、かさかさ感がとれるものを選ぶのがよいでしょう。特に冬の乾燥する間のスキンケアが非常に大切です。この場合は皮膚の乾燥を予防することで症状がやわらぎます。

 悪化して湿疹になってしまうとステロイドの外用などの適切な外用療法やかゆみを止める内服療法が必要になります。

老人性乾皮症の日常生活上の注意点

 老人性乾皮症に関して日常生活上の注意点がいくつか挙げられます。

 入浴は熱すぎるお湯をさけ、あまり長い風呂はさけるようにします。石鹸は通常使用できますが、あまり皮膚の脂を取り除いてしまうようにゴシゴシと洗うことは避けるようにします。皮脂を取り除く力が強すぎる洗浄剤は避けるようにします。たわしやナイロンタオルなどの物理的な摩擦を避けます。

 保湿剤は入浴後の皮膚が少し湿った時に外用すると効果的です。衣類はできるだけチクチクせず、刺激の少ないものを選んだほうがよいでしょう。

 痒みは原因に応じた治療が行われる必要がありますが、一般的に痒み止めと呼ばれる抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服薬が処方されることがあります。これらは痒くて病変を掻いてしまって、またその皮膚が悪化するという、悪循環を断ち切るのに必要です。医師の指示を守って服用しましょう。

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