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摂食・嚥下障害とは

公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年6月21日 09時37分

摂食嚥下障害とは、どのような障害か

 「摂食嚥下の5期」の5つの段階のうち、どこかの段階で障害されることを、摂食嚥下障害といいます。

摂食嚥下の5期とは

 摂食嚥下は、食べ物を認識してから、口を経由して胃の中へ送り込む、一連の動作のことです。それらの一連の動作を5段階に分けて考えられることから「摂食嚥下の5期」と呼ばれています。

  1. 先行期:目で見て食べ物を認識する
  2. 準備期:その食べ物を口から入れ、咀嚼する
  3. 口腔期:舌や頬を使い、食べ物を口の奥からのどへ送る
  4. 咽頭期:脳にある嚥下中枢からの指令で、食べ物を食道へ送る
  5. 食道期:食べ物を胃へ送り込む

1.先行期(せんこうき)

 視覚、嗅覚、触覚などから食物を認識して口に運ぶ前の時期です。今から口に運ぶものが食べ物であるかどうか、硬さはどうか、一口で口に入れることができる大きさか、などを判断しています。

2.準備期(じゅんびき)

 口腔内に食物を送り込み、咀嚼(歯で噛み砕くこと)をして、食塊(まとまりがあって柔らかく咽頭を通過しやすい一塊の食物)を形成する時期です。食塊は顎、舌、頬、歯を使って、唾液と混ぜ合わせています(図1)。

図1:準備期の様子を示す図。口腔内に食物を送り込んでいるところを示す。
図1:準備期の様子

3.口腔期(こうくうき)

 舌を使って、食塊を咽頭(のど)へ送り込む時期です。舌を、しっかりと口蓋(口の上側)に接触させることで、口腔内の圧を高め、送り込む動作を促します。頬や口唇も、同様の役割を果たしています(図2)。

図2:口腔期の様子を示す図。舌を使って、食塊を咽頭(のど)へ送り込んでいるところを示す。
図2:口腔期の様子

4.咽頭期(いんとうき)

 嚥下反射によって、食塊を咽頭から食道入り口へ送り込む時期となります。軟口蓋が挙上して鼻腔との交通を遮断、舌骨、口頭が前上方に挙上して食道入り口部が開大するのと同時に喉頭蓋谷が下降します。声門は閉鎖し気道防御機構が働くことで誤嚥を防止します(図3)。

図3:咽頭期の様子を示す図。食塊を咽頭から食道入り口へ送り込んでいるところを示す。
図3:咽頭期の様子

5.食道期(しょくどうき)

 蠕動運動と重力によって食塊を食道から胃へ送り込んでいく時期となります。食道入り口部の筋肉は収縮し、食塊が逆流しないように閉鎖します(図4)。

図4:食道期の様子を示す図。食塊を食道から胃へ送り込んでいるところをあらわす。
図4:食道期の様子

摂食嚥下障害による問題点

 摂食嚥下障害を起こすと、飲食ができないことによる栄養状態が低下する低栄養や脱水を引き起こしたり、食べ物が気道に入ることによる誤嚥性肺炎、窒息や飲食ができないことによる"食べる楽しみ"を失ってしまうというQOL(Quality Of Life:クオリティオブライフ=生活の質)の低下などが、問題点として挙がってきます。

特に高齢者の場合は

  • 加齢とともに歯が欠損する
  • 舌の運動機能が低下する
  • 咀嚼(そしゃく)能力が低下する
  • 唾液の分泌が低下する
  • 口腔感覚の鈍くなる
  • 咽頭への食べ物の送り込みが遅くなる

などの機能的な変化により、摂食嚥下障害を起こしやすくなります。

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