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骨粗鬆症の治療

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 7日 18時41分

 骨粗鬆症は、骨折、さらには将来的な生活の質の低下の危険因子です。 そのため、原発性骨粗鬆症と診断がついた場合、内服薬や注射薬による治療、および生活習慣の改善を行うことで、これらの予防を行います。

 なお、病気や薬による続発性骨粗鬆症の場合には、原病に対する治療や、内服薬の調整を行います。また、すでに骨粗鬆症による脆弱性骨折をきたしている場合には、骨折に対する治療が優先されます。

 本項では、原発性骨粗鬆症に対する薬物治療について述べます。

原発性骨粗鬆症に対する薬物治療

 原発性骨粗鬆症の診断基準を満たした場合、もしくは骨量減少症(骨密度が若年成人の70〜80%)でも骨折の危険が高いと判断された場合に、薬物治療が開始されます。

 近年、薬物治療の開始にあたっては、血液検査や尿検査による、骨代謝マーカーの数値が参考にされるようになりました。検査で骨形成と骨吸収のバランスがどちらに傾いているかを推定することにより、適切な治療薬の選択が可能となっています。

カルシウム薬

 カルシウムは骨にとって必要不可欠な成分で、カルシウム不足は骨粗鬆症の原因となります。治療薬としてのカルシウム薬は、わずかながら骨密度上昇効果が認められていますが、骨折リスクを低下させる効果は他の薬物に比べて弱いといわれます。

女性ホルモン薬

 若いうちに閉経した女性の骨粗鬆症予防や、閉経後比較的早期の女性で更年期症状を伴う場合に用いられることが多い薬です。骨密度の上昇もしくは維持効果、および骨折の抑制効果があることが明らかになっています。プロゲステロン製剤との相互作用により心血管障害や脳卒中、乳癌、血栓症のリスクが上がる場合もあり、これらの既往がある患者さんでは注意が必要です。

選択的女性ホルモン受容体モデュレーター

 女性ホルモンの受容体に結合して作用する薬で、閉経後骨粗鬆症の患者さんで用いられます。骨密度の上昇効果や、椎体骨折の抑制効果が明らかになっています。

ビタミンD製剤

 長期間投与の安全性が示されており、転倒抑制効果もある薬です。アルファカルシトール製剤よりも、エルデカルシトール製剤の方が、骨密度の上昇効果や骨折予防効果が強いとされています。

ビスホスホネート薬

 骨代謝の部分にはたらきかけ、骨吸収を抑制することで効果を示します。内服薬の場合、週に1回や、月に1回でよい内服製剤があります。内服に際しては、服薬後30分は横にならない、服薬前後に飲食を避ける、歯科治療時は服薬を中止する、などの注意が必要です。近年、注射製剤も発売され、内服が困難な患者さんでも使用可能となりました。

カルシトニン製剤

 カルシトニンは、甲状腺ホルモンの1種で、骨吸収を抑制する効果があります。カルシトニン製剤は週に1回の皮下注射薬です。骨折抑制効果や骨密度上昇効果は弱いものの、すぐれた鎮痛効果が報告されています

副甲状腺ホルモン薬

 連日の自己注射製剤と、週1回外来で行う皮下注射薬があり、骨密度上昇効果、骨折予防効果が認められています。投与できる期間に制限があり、ビスホスホネートなどその他の治療でも骨折を生じた例や、高齢で複数の椎体骨折を認める例など、重症例での使用が推奨されています。

デノスマブ

 骨吸収を担う細胞にはたらきかけ、骨吸収を阻害する薬で、平成25年から骨粗鬆症に対して使用できるようになりました。半年に1回の皮下注射製剤です。

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