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悪性リンパ腫の治療

公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 22時12分

悪性リンパ腫の治療

 治療としては抗がん剤の点滴治療(化学療法)、放射線療法、モノクローナル抗体(がん細胞にだけを識別する性能をもつ抗腫瘍薬)療法、造血幹細胞移植などが行われ、多くの場合一定の効果が期待できます。

1.化学療法

 化学療法は、薬剤を用い腫瘍細胞を殺すことを目的とした治療法です。ホジキンリンパ腫ではアドリアマイシン(別名ドキソルビシン)・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジンの4種の抗癌剤を併用する治療法が、標準治療法となっており、それぞれの頭文字を取ってABVD療法と呼ばれています。

 非ホジキンリンパ腫では、シクロフォスファミド・ドキソルビシン・オンコビン(別名ビンクリスチン)・プレドニゾロンの4種の抗癌剤を併用するCHOP療法や、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブを加えたR-CHOP療法が主に選択されています。

 化学療法は、病型や病期を総合的に判断し、適切な薬剤を用います。化学療法では、抗癌剤の副作用と戦う必要があるため、担当の医師からきちんとした説明を受けます。代表的な副作用としては、嘔吐、下痢、発熱、口内炎などがあります。高齢の患者様の場合は抗がん剤の副作用が強く現れますので薬剤の量を減らして感染症を合併しないように入院治療する必要があります。

 生活機能を著しく失ってしまい寝たきりになってしまっている患者様の場合は治療効果および副作用に対する余力が乏しいため、安全性や生活の快適さを重視した治療が選ばれることもあります。

2.放射線療法

 放射線療法では、高エネルギーのX線を病変部に照射し、がん細胞を殺し、腫瘍を小さくしたり、なくしたりすることを目標とした治療法です。悪性リンパ腫の治療としては、1期や2期の限局期の治療法として選択されます。

 放射線療法は一定の効果が見込めますが、副作用にも注意しなければなりません。代表的な副作用に、嘔吐、だるさ、皮膚炎、粘膜炎、食欲低下などがあります。

3.モノクローナル抗体療法

 モノクローナル抗体療法の代表的な薬剤として、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブがあります。

 リンパ球の一種であるBリンパ球の表面にはCD20と呼ばれる分子が露出しており、CD20に特異的に反応することができる抗体を薬として投与することで、自身の免疫システムを活用してがん細胞を殺すことができます。人体の免疫システムは、抗体がくっついている細胞を殺すという働きがあるからです。

 このごろ治療用モノクローナル抗体が盛んに開発されていますし、既に患者様に使われている一部の薬は大変よい治療成績をあげています。したがってリンパ腫の治療成績はさらに向上していくと考えられます。

4.造血幹細胞移植

 造血幹細胞移植は、事前に造血幹細胞をとっておき、あとから幹細胞を戻すという治療法です。化学療法や放射線療法は、副作用として骨髄の機能を抑制してしまいます。事前にとっておいた造血幹細胞を治療後に戻すことで、骨髄の機能の回復を図ります。

 化学療法や放射線療法は骨髄機能の抑制という副作用があるため、投薬量や照射量を制限していますが、通常の治療では成果が見込めない場合に造血幹細胞移植が適応となり、制限を超えた治療を行うことが可能となります。

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