健康長寿ネット

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運動療法 種類と目的

公開日:2016年7月25日 20時00分
更新日:2020年2月21日 11時20分

運動療法とは

 運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の症状の改善や予防を図ることです。

 運動療法というと、脳卒中後の身体の麻痺に対するものや、骨折や腰痛などの整形疾患に対するものが主流でしたが、最近では、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の改善や予防、心臓リハビリテーション、呼吸リハビリテーションなど、内科疾患に対する運動療法も積極的に行われています1)

 生活習慣病の改善・予防には、運動療法と食事療法が基本となり、必要に応じて薬物療法も併用されます。

運動療法の種類

 運動療法には、有酸素運動、無酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチングなどがあります。

有酸素運動2)

運動療法として有酸素運動の水中ウォーキングをしている写真。

 筋肉を動かすエネルギー源として糖質や脂質とともに酸素を使って行う運動で、息が弾むくらいの強度で、比較的、筋肉への負荷が軽い運動のことをいいます。

 脂質や糖質をエネルギー源として使うため、血中脂質や血糖の減少が期待でき、高血圧や高血糖、脂質代謝異常などの改善を促すことができます。また、心肺機能の改善や骨粗鬆症の予防も期待できます。

 有酸素運動には、ウォーキング、体操、エアロビクス、エアロバイク、水泳、水中ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ハイキングなどがあります。

無酸素運動3)

 酸素を使わずに筋肉を動かす負荷の強い運動のことをいいます。

 無酸素運動では、有酸素運動に比べて短い時間にエネルギーを多く必要とします。時間当たりの消費するエネルギーは大きいですが、乳酸が溜まりやすく、疲労しやすいため長時間の運動には向いていないという特徴があります。

 無酸素運動には、筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行うダンベルやマシンを用いたトレーニング、スクワットや腕立て伏せなどのレジスタンス運動4)、短距離走があります。

筋力トレーニング

 筋力トレーニングとは、筋力を増強させるための運動です。筋力トレーニングには、関節の動きを伴わず行う等尺性運動と関節の動きを伴う等張性運動があります。筋肉に負荷をかけて繰り返し動作を行う等張性運動はレジスタンス運動とも呼ばれます。

 等尺性運動は関節の動きを伴わずに行うため、関節への負担も少なく、低負荷で行えるため、筋力や体力が低い方や、運動療法の開始時に取り入れやすい運動です。

ストレッチング5)

運動療法としてストレッチングをしている写真。運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の症状の改善や予防を図ること。運動療法の種類に有酸素運動、無酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチングがある。運動療法の目的は生活習慣病の改善や予防。

 ストレッチングとは、筋肉の柔軟性を高めるための運動で、運動を行いやすくするためや、怪我の予防、疲労の蓄積を予防するために、運動前後に取り入れられることの多い運動です。

 ストレッチングには、関節の動きを伴って筋肉を伸ばす・縮ませることを繰り返して行う動的ストレッチングと、筋肉をある程度伸ばした状態で静止して行う静的ストレッチングとがあります。

 静的ストレッチングは、関節や筋肉への負荷も軽く、リラクゼーション効果も得られるので、運動療法を開始した時期や運動後のクールダウンとして用いられます。

運動療法の目的

 身体をよく動かし、運動を行っている人は、総死亡率が低く、虚血性疾患、糖尿病、高血圧、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどにかかる割合も低いことがいわれています6)

 運動療法の目的として、以下のことがあげられます。

  • 体力、全身持久力、筋力、筋持久力、柔軟性、心肺機能、バランス能力の維持・改善を図ること
  • 立つ・歩く、起き上がる、座る、階段を上り下りするなどの移動動作能力と日常生活動作の維持・改善を図ること
  • 活動的に日常生活を送り、生活の質を高めること、健康寿命を延ばすこと
  • 生活習慣病や肥満の予防・改善を図ること
  • 筋肉や骨への刺激により、筋萎縮や骨粗鬆症を予防すること
  • ストレスの発散やリラクゼーション効果を得て、心の健康を保つこと

健康増進施設で運動療法

 厚生労働省が1988年に国民の健康づくりを推進する上で一定の基準を満たしたスポーツクラブやフィットネスクラブを認定しその普及を図るため「運動型健康増進施設認定規程」(昭和63年厚生省告示第273号)を策定し、運動型健康運動増進施設として大臣認定を開始しました7)

 厚生労働大臣認定健康増進施設には、フィットネスクラブ・疾病予防運動施設・医療機関型施設・健保組合の施設・公共の施設等様々な施設が認定されております。全国では、350施設認定されており、その中には、運動療法を実施し、その利用料金が医療費控除の対象になる「指定運動療法施設」を取得している施設もあります7)。指定運動療法施設では、医師の指示に基づく運動療法を実施する際に必要となる利用料金について、所得税法第73条規定する医療費控除の対象とすることができます7)

 全国の指定運動療法施設の一覧は、公益財団法人日本健康スポーツ連盟のホームページ、健康増進説検索 厚生労働大臣認定健康増進施設(運動型)一覧表に掲載されています(リンク1 参照)8)

リンク1:公益財団法人日本健康スポーツ連盟 健康増進施設検索 厚生労働大臣認定健康増進施設(運動型)一覧表(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

参考文献

  1. 運動療法 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. エアロビクス/有酸素性運動 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. アネロビクス 無酸素性運動 厚生労働省 e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. レジスタンス運動 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. ストレッチング 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 健康日本21(身体活動・運動)厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  7. 健康増進施設認定制度 公益財団法人日本健康スポーツ連盟(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  8. 健康増進施設検索 厚生労働大臣認定健康増進施設(運動型)一覧表 公益財団法人日本健康スポーツ連盟(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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