健康長寿ネット

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脊髄損傷の在宅介護

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年7月17日 11時51分

脊髄損傷の原因

 65歳以上の脊髄損傷者は、若い人に比べて転倒などの軽度の外力による損傷が多く、その中で60~70%は骨の損傷を伴わない頸椎変形による例が多いとされています。高齢者では骨粗鬆症により骨が弱っているため、交通事故、高所転落、転倒などの原因で、骨折が多く、中には転移性脊髄腫瘍もみられます。

介護のポイント

 脊髄損傷による四肢麻痺者では、合併症の予防を念頭にいれておかねばなりません。介護には、褥瘡(じょくそう=床ずれ)予防として、ポジショニング、体位交換、身体の清潔、水分・栄養の摂取に気をつけます。無気肺、肺炎、深部静脈血栓を予防するためには、生活の中にできるかぎり座位の生活を取り入れるようにします。脊髄損傷では、損傷レベルにより可能な日常生活動作がある程度決定されるので、身体介護する上で、脊髄損傷者ができる動作と介助が必要な動作について話し合い、自立支援を考えなければなりません。重症化することでベッド上にて過ごすことが多くなるため、褥瘡など合併症を起こす可能性が高くなるため、介助用ベッドや褥瘡予防のエアマットなど福祉用具を上手に利用することが大切です。

在宅リハビリテーション

関節可動域訓練

 関節の拘縮(こうしゅく)、変形予防として関節可動域訓練を行います。急激に動かすと、股、膝に異所性化骨(関節周囲に骨ができて、関節の動きが悪くなる)を合併しやすいので、静かにゆっくり行います。

残存筋筋力強化

 残存筋筋力強化として、対麻痺患者では、両上肢の筋力強化を鉄亜鈴1~2㎏を用いて行います。

ベッド上起居動作

 ベッド上での寝返り、起きあがり、端座位の練習を行います。

マット訓練

 背臥位から側臥位、起きあがり、長座位、四つ這い動作を練習します。

プッシュアップ

 床に置いた手台上で、肘をのばして上体を持ち上げます。また車いす上の肘掛け上で、上肢を伸展させてもよいです。

車椅子訓練

 対麻痺患者では、移乗動作訓練、スロープ、段差乗り越えを行います。

日常生活動作訓練

 食事、整容、更衣などの練習を行います。食事にも、自助具が必要となります。

脊髄損傷の介護

排尿管理

 排尿状態を把握するため、毎日、排尿時間、排尿量、残尿、尿意の有無、尿失禁量、飲水量を記録します。飲水量は、1日1.5~2リットルを目標にします。損傷レベルに応じて、排尿方法として用手排尿もしくは自己導尿を選択する場合もあります。重症化した場合には、膀胱留置カテーテルを使用して排泄管理を行う必要があるため、カテーテルの扱いも大切になります。

褥瘡予防

 急性期では、医療サイドにまかせていた管理を自分で行えるように指導します。ベッド上では、自分での寝返り動作による体位交換、車いす上では、プッシュアップ動作による尻上げ運動を行うようにします。ベッド上にて自己にて体位変換を行えるように、体位変換枕や残存機能を生かした体位変換方法を指導していきます。

排便管理

 排便のコントロールをつけるために、食後30分ぐらいで定時に便器に腰掛けること、規則正しい食事、適度の運動、腹部マッサージ、十分な水分摂取、繊維成分の多い食物の摂取などが大切です。緩下剤(かんげざい)と座薬を使用して、摘便処置併用で排便コントロールを行います。移乗動作が介助で可能になれば、ポータブルトイレ、トイレでの排便を行います。

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