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子宮がん末期

公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年6月20日 10時49分

子宮がん末期の症状

 子宮がんは、子宮の奥の体部に生じる「子宮体がん」と、子宮の入り口付近にできる「子宮頸がん」の2種類に分類されます(図)。この2つの子宮がんには目立った初期症状はほとんどありません。しかし、症状が進行するにつれて、生理ではない時期の出血や性交時の出血、おりものの変化(色やにおい、量など)が見られるようになります。

図:子宮癌に分類される子宮の奥の体部に生じる「子宮体がん」と、子宮の入り口付近にできる「子宮頸がん」を示す図。
図:子宮体がんと子宮頸がん

 さらにがんが進行すると、がんの浸潤が膣や骨盤壁にまで達し、激しい下腹部痛や腰痛などの症状が出現します。がんが直腸や膀胱にまで浸潤した場合は、血便や血尿のほか、便や尿が子宮に入り込むことによる膣からの悪臭などの症状が見られるようになります。

 子宮がん末期になると、がんが他の臓器へ転移し、転移先の臓器で特有の症状を呈するようになります。子宮と近い位置にある腎臓は、子宮がんが転移しやすい臓器の一つですが、がんによって腎臓が障害されると、尿が出にくくなったり、尿の停滞によって尿毒症を発症したりすることもあります。

子宮がん末期における診断

 子宮がんの進行の程度や周囲への広がりを確認するためには、超音波検査やCT、MRIなどの画像診断が有用です。超音波検査は、子宮内外のがんの状態を確認したり、他の臓器やリンパ節への転移の有無を確認したりする目的で行われます。CT、MRIは、遠隔臓器やリンパ節への転移の有無、がんの浸潤の程度を診断するために役立ちます。

 また、血液中の腫瘍マーカーを調べることによって、がんの進行の程度や治療効果の判定、貧血や炎症反応の有無など全身状態の確認を行うことができます。

子宮がん末期の治療

 子宮がんの治療には外科的ながんの切除、抗がん剤による化学療法、放射線治療、ホルモン療法の4つがあります。

 子宮がんの末期には、子宮以外の臓器にもがんが転移を起こした状態であるため、外科的な治療によって全てのがんを取り除くことは困難です。そのため、末期の治療としては、がんがもたらす様々な症状や、辛い疼痛を軽減させることを主目的とした化学療法や放射線治療が行われます。しかし、これらの治療には副作用が伴うため、積極的な治療を中断し、緩和ケアへ切り替えるという選択をすることもあります。

 一般的には、がんの根治を目的とした手術は行なわれませんが、子宮がんの末期においては、がんの進行や周辺臓器の症状を抑えるために、子宮をはじめ、骨盤内の臓器を外科的に摘出する場合もあります。摘出後は取り除いた臓器の機能を補うため、人工肛門や回腸導管の造設を行い、便や尿が体外に排出できるようにする必要があります。

子宮がん末期の予後・ケア

 子宮がんは他のがんと比べて治りやすく、生存率も比較的高いがんです。子宮がん末期の状態に近いステージⅣまでがんが進行していた場合、5年生存率はおよそ20%とされています。しかし、既に全身にがんが転移している場合、転移先の臓器でがんによる機能障害が進行すれば、命に関わる重篤な症状によって死に至ることもあり、必ずしも予後が良いとは言えません。

 こうした状況を踏まえ、子宮がんの末期には「緩和ケア」が治療の中心になることがほとんどです。緩和ケアはご本人やご家族のQOL(Quality Of Life:クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持・向上を大きな目的としているため、がん末期の辛い症状や痛みといった身体的な苦痛に対する治療だけでなく、生活上の悩みや療養生活における不安など精神的な苦痛に対しても支援を受けることが可能です。

 がん末期に直面する様々な苦痛を取り除き、本来の自分らしさを取り戻すことは療養生活の質を上げることにもつながります。緩和ケアはがん末期において、人としての尊厳を支え、納得のいく余生を送るために重要な役割を果たしてくれるでしょう。

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